アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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手塚 貴晴 - 人は建築の向こうに何を見るのか?
これからの学校環境を問い直す
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2014 東西アスファルト事業協同組合講演会

人は建築の向こうに何を見るのか?

手塚 貴晴TEZUKA TAKAHARU


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これからの学校環境を問い直す

「ふじようちえん」は、当時の幼稚園の設置基準にはまったく合っていません。幼稚園の設置基準では、学校に準じるという決まりで、幼稚園の天井高は3メートルと定められていますが、「ふじようちえん」では子どものスケールに合わせるため、いちばん低いところで約2.1メートルとしています。また、屋上に園児を乗せることは推奨されていなかったので、地方公共団体や市役所などさまざまな方から、設置基準に準じるべきだとずっと言われ続けていました。園長先生も、「うちの幼稚園は私立で、私がお金を払って建てるのだから構わない」と強引に推し進めたため、竣工後もずっと怒られ続けていました。

しかし、ある時「ふじようちえん」に対する行政側の態度が一変しました。それは、2010年にユネスコとOECD(経済協力開発機構)が、これからの学校環境について考えることを国連へ呼びかけたことがきっかけとなりました。それから、国連は各国に、自国内で建築家の作品と限定せず、また、古いものから新しいものまで過去50年間で建った学校建築のうち、いちばんよいと思う学校建築を募り、33カ国から166案が集まりました。そこから、なんと「ふじようちえん」が一等賞に選ばれました。それまではずっと私たちに怒り続けていたのに、突然当時の文部科学大臣の方が「ふじようちえん」に現れ、文部科学大臣賞を園長先生に授与されました。

ちょうど同じ頃に、うちの奥さんが幼稚園の設置基準をつくる委員になり、「子どもを屋根の上に乗っけましょう」「ぐるぐる回る行き止まりのない空間がよいんです」「天井高はなんでもよいんです」というように、次々と設置基準を書いていきました。今の幼稚園の設置基準を見ていただくと、まるで、「ふじようちえん」をつくりなさい、と言っているような決まりになっています。こんなに自分の好きなように法律をつくるのが楽しいものだとは思いませんでした(笑)。


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