アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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伊東 豊雄-建築の仮設性
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東西アスファルト事業協同組合講演会

建築の仮設性

伊東 豊雄TOYO ITO


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質問
 
全体を通して、どの作品も共通して、パンチングメタル、エキスパンドメタル、あるいは布といった、比較的透過性のある材料を使っておられますが、ある意味では、見えそうで見えないとか、見えなさそうで見えるという、あるいは厚い壁をスクリーンの層のように分割してしまうといった風に、材料のセレクション、あるいは材料の使い方、見え方が一貫しておられるように思いますが、それは何か特にお考えがあってのことでしょうか。(会場より)
伊東

半透明の状態というのが非常におもしろいということに、あるとき気がつきまして、その状態をエキスパンドメタルを使ったり、布を使ったり、パンチングメタルを使ったりして試してみているんです。クリストという作家がいますね。建物でも橋でも何でも布ですっぽりを覆ってしまうような作品をつくる人ですが、それをパンチングメタルのようなもので覆った状態を想像しますと、ちょうどさきほどの横浜風の塔のようなものになります。

内部が透かし見えるという状態になると、ちょうど酔っ払って街を見ると表現しましたように、まるで風景がスーッとその瞬間に浄化されて見えてくるような気がするのです。完全にシャットしてしまうのでなく、また完全に透明な状態でもなく、という状態です。たとえば私はガラスという素材をなかなか使いこなせないんです。ガラスを使うと、むしろそれは壁ができてしまったように自分では意識してしまうんですね。それよりも、たとえばパンチングメタルのようなもののほうが、昔のすだれであるとか障子であるといった、やわらかくて何となく人の気配を察することのできる素材であるように感じられるわけです。ただ、いまは皆んなが使っているでしょう。ですから、最近はもう少し別な材料がないかなあということを、盛んに考えたり、探したりしております。以上です。

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