アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

マークアップリンク
トップ
私の建築手法
手塚 貴晴 - 人は建築の向こうに何を見るのか?
子どもの動きを喚起する空間
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986

2014 東西アスファルト事業協同組合講演会

人は建築の向こうに何を見るのか?

手塚 貴晴TEZUKA TAKAHARU


«前のページへ最初のページへ次のページへ»
子どもの動きを喚起する空間

「ふじようちえん」の中で、どのくらいの遊びが行われているのか、東京都市大学の小林茂雄先生が大学院生を使って調査されました。その結果、普通の幼稚園のだいたい八倍くらいの遊びが行われていることが分かりました。「ふじようちえん」に遊具はありません。だからこそ、子どもたちは建築だけで、いろいろな遊びをつくろうと工夫します。遊具は、JIS規格などがあるためか、遊び方に説明書が付いてきます。それが子どもたちの遊びの幅を狭めてしまう。けれど、こうしなさいと言わなくても、子どもたちがこうしたいなと思って動くのが本当はいちばんよいと思います。

「ふじようちえん」屋根の上を見る。一方向に板材が張られている。楕円の周長は内周で約108m、外周で約183m。
「ふじようちえん」屋根の上を見る。一方向に板材が張られている。楕円の周長は内周で約108m、外周で約183m。

また、子どもが幼稚園の中で、どのくらい動いているかという調査では、普通の幼稚園の子どもよりも「ふじようちえん」の子どもの方が、約五倍の距離を移動していることが分かりました。「ふじようちえん」の楕円の外周は、一周183メートルあるのですが、子どもたちは何も言わなくても、屋上に登るやいなや走り出します。屋上の床は、内側に向かってすり鉢状に少し傾いているのですが、その不安定さが子どもの動きを励起するのです。ある、幼少期の子どもたちの運動能力定数調査によると、「ふじようちえん」の子どもたちの足がいちばん発達していることが分かり、どういうトレーニングをしているのかと驚かれたそうです。今幼稚園で、どれだけ子どもたちを強くするかということに、しのぎを削っている状況です。それに対して「ふじようちえん」では、ただ自由に遊ばせているだけで、自然と子どもたちは強くなっていっているのです。園長先生によれば、「放し飼い」にしているだけです、とのことです。

「ふじようちえん」である子どもが午前中の20分間に移動した軌跡を示した図。
「ふじようちえん」である子どもが午前中の20分間に移動した軌跡を示した図。
「ふじようちえん」で子どもが行っている遊びを示した図。図版:東京都市大学小林茂雄研究室/太田温子作成
「ふじようちえん」で子どもが行っている遊びを示した図。図版:東京都市大学小林茂雄研究室/太田温子作成

«前のページへ最初のページへ次のページへ»