アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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私の建築手法
手塚 貴晴 - 人は建築の向こうに何を見るのか?
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2014 東西アスファルト事業協同組合講演会

人は建築の向こうに何を見るのか?

手塚 貴晴TEZUKA TAKAHARU


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「お気に入りの場所」をめざして

最後に、私たちがいつも乗っている車を紹介します。決して性能のよい車ではありません。冷房もついていないので、夏の暑い時には屋根を開け、雨が降る時にはその屋根は閉めて、側面のドアを開けます。そのまま高速道路を走ると、ボンネットにある水が内部に流れ込んできてしまい、キャビンの中は大洪水になります。しかし、車の説明書を見てみると、「床にゴム栓があるので、それを外して水を抜いてください」と書いてあります。決して完璧じゃないけれど、この車は人びとに愛されて、50年もの間つくり続けられました。

また、ある時「屋根の家」のオーナーさんが、講演会か何かで「手塚さんに頼んだとしても、100%満足なものはできないかもしれない。だけど、200%お気に入りの建物ができます」と、私たちにとってすごく嬉しいことを言ってくれたのを、今でも覚えています。

建築家がつくるものというのは、大量生産のプロダクトではないので、そんなに完璧なものはつくれません。プロダクトでさえ完璧ではないと思います。ましてや、建築の場合はそのひとつだけしかつくることができないので、さまざまな思いもよらないことが起こります。では、その時いちばん何が大事になってくるかというと、その建築を使う人の思い入れだと思うのです。また、その先には、将来どれだけの人がそこに関わってくるかなどの、仕組みづくりが大切になるでしょう。だから、私たちの仕事というのは、建物をつくる、ではなく、その前に、周りにどのような出来事をつくるか、という部分から仕事が始まるのです。


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