アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
それでは私たちは何を考えたらいいのかということになると思いますが、ここから先は私の断定的な話で、北野さんが人間という個体に興味があるとしたら、私たち、建築をつくる側は、人間と人間の関係だろうと思います。もうちょっと大胆にいうと「共同体」だと思うのです。「共同体」をどのように考えていくかということが、私たちのメッセージの最も中心の部分ではないかという気がします。しかも、われわれは、その中心部分について考えることをずっとさぼってきたために、ますますしゃべることができなくなっている気がします。ちょっとおおげさな話になりますが、「共同体」というものをどう考えていくか、そのことが、今、私たちの手の内にはまったくないといっていいでしょう。それは考えなくてもいいのだ、というところで建築がつくられているように思うのです。
その「共同体」という話をもうちょっと日常の言葉で、そして建築との関係でいうと、私は「生活」という言葉が当てはまると思っています。具体的にいってしまうと、「生活」というのは私たちの身体と空間との関係じゃないかと思うんです。
たぶん七十年代のはじめぐらいからでしょうか、空間を考えるときに身体性のようなものをかっこに入れて、空間は空間として私たちの思考の対象になり得る、という考え方が優位になってきたように思うのです。しかし、それがそろそろ破綻してきている気がします。どう考えていっても空間の中に私たちの身体があるわけで、その身体と空間の関係がどんなことになっているかということに関して、もう少しお互いに考えていく必要があると思います。