アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
長い間、講演の誘いを断り続けてきた高松伸氏のめずらしい講演設会録。「小説でいえば下書きのような感じ」と本人の言うように、少年時代の原風景からの軌跡をていねいに辿りながら、高松氏のこれから進もう、考えていこうとしているところを語っている。
建築の設計は常にプログラムを前提として展開していきます。まず、いくつの部屋が必要で、それぞれにどれだけの大きさが必要で、それぞれの部屋の関係は・・・・、といった思考過程を辿りながらプログラムを作成するわけですが、ある意味でこうした形式的な作業に無意識に寄っかかってきたという意識が僕自身にもあるし、それが正しい建築のつくり方であると教えられ、信じてもきました。しかし、今や硬直化してしまったそのプログラムのあり方そのものの中に、もしかするとたいへんな可能性があるんではないかと思い始めています。それはプログラムのヒエラルキーの中に穴を探す、というかプログラムの余白を積極的に探し出して、それを拡大することで生み出せる建築の豊かさへの新しい可能性ではないかと思い始めております。これまでの正しい豊かさをつくり上げるプログラムに基づいた方法から、次なる新しい可能性への移行、いわば図式的な豊かさに対する対置く概念である空白、つまり積極的な貧困を形成することで、新しい豊かさを発見できるのではないかと思っています。
「織陣 I・II・III」「西福寺」「先斗町のお茶屋」「ARK」 「PHARAOH」「キリンプラザ・オオサカ」「いちごや」 「SYNTAX」「仁摩サンドミュージアム」 主な著書 「WORKS高松伸」(グラフィック社) 「極1・2・3」(学芸出版社) 「現代建築・空間と方法 高松伸」(同朋社) 「僕は、時計職人のように」(住まいの図書館出版局) 「GA ARCHITECT9高松伸」(ADA)