アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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私の建築手法
古谷誠章 - カルロ・スカルパ考
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2005 東西アスファルト事業協同組合講演会

カルロ・スカルパ考

古谷誠章NOBUAKI FURUYA

古谷誠章-近影

今日は仙台にゆかりのあるカルロ・スカルパの話を皮切りにして、今私が考えていることをお伝えしたいと思います。

スカルパは1906年にベネチアに生まれ、1978年に仙台で亡くなりました。20世紀を生きた建築家の中で、実は最も示唆的な建築家のひとりではないかと思います。スカルパは装飾的なディテールや技巧、古い工法を復興させた、職人的・工芸的な建築家と見られています。そういう側面において確かに優れた建築家ですが、それ以上に私が彼の手法に強く惹かれるのは、単に細部の技巧や工芸品的なものを大切にする眼差しとは違う、もっと非常に新しい考え方の持ち主だと思うからです。

スカルパはたくさんの作品を残していますが、その大半が既存の建物の改修であったり、展覧会の会場構成であったり、いわばリノベーションの作家です。スカルパのリノベーションは単に古い建物を修復するのではなく、もっと創造的であったと思います。イタリア語では彼のした仕事をレスタウロと言います。英語で言うとリストレーションですが、これは単純な修復という意味ではなくて、むしろ創造的な修復という意味を持っています。つまり、古いものの中に現代に使い直せる新しい価値を見出し、それに新しいものを付け加えて、古いものと新しいものが一体になって初めて価値を持つような改修のことを意味しています。

ベネチアで生まれたスカルパは終生、ベネト方言しか話さなかったというきわめてローカルな建築家です。私は、そのローカルな建築家が20世紀のモダニズムの巨匠たちに匹敵するぐらい重要な仕事を残していると考えています。

Profile
略歴
1955
東京都生まれ
1973
東京都立青山高等学校卒業
1978
早稲田大学理工学部建築学科卒業
1983
同大学院穂積研究室助手
1986
早稲田大学理工学部建築学科助手
1986
近畿大学工学部講師
1986
文化庁芸術家在外研修員として、スイスの建築家マリオ・ボッタ事務所に在籍
1990
近畿大学工学部助教授
1991
第8回吉岡賞受賞
1994
早稲田大学理工学部助教授
1994
八木佐千子と共同してスタジオナスカ(現NASCA)を設立
1997
早稲田大学理工学部教授
受賞
1980
早稲田大学大学院博士前期課程修了(穂積研究室)修了時、 小野梓記念芸術賞受賞
1999
「詩とメルヘン絵本館」日本建築家協会新人賞受賞
2000
「やなせたかし記念館」日本建築学会作品選奨
2000
中里村新庁舎プロポーザル案一等
2001
茅野新市民会館プロポーザル案一等
2002
「早稲田大学會津記念博物館」日本建築学会作品選奨
2003
「Zig House/Zag House」日本建築学会作品選奨
2004
「近藤内科病院」日本建築学会作品選奨
2006
高崎市立堤ヶ岡第二小学校(仮称)プロポーザル案一等
2007
「茅野市民館」日本建築学会賞作品賞
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