アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
晩年の作品、「ヴィラ・パラツェット」の建主であるアルド・ブジナーロという人は、スカルパのいわばパトロンでした。ここでスカルパはいろいろな実験をしています。すべて異なった要素が組み合わさっているにもかかわらず美しい調和をつくり出すための実験です。
玄関ポストのデザインも、スカルパが好んで使う床のモザイクも、ひとつひとつ違い、パターンもいろいろですが、全体としてひとつながりになって調和しています。スカルパが持っていた技巧的な面や精緻なディテールに注目することも大事ですが、それ以上に、まったく異質なものを組み合わせておきながら新しい調和を生み出すという精神も大切です。また、古いものを全部残すのではなくて不要だと思うものは捨てて、もう一度価値を見出すことができる部分だけを取り出し、それに自分の新しいものを組み合わせていくという理念は、とても現代的なものだと思います。