アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
若手建築家として常に注目を集めてきた隈氏。建築を消すにはどうしたらいいかということを、「デジタル・ガーデニング」という考え方で、隈氏の作品を取り上げながら解説する。
私もカオスに一時期非常に引かれていたことがありました。「M2」では、どうやったらカオスがつくれるかを真剣に考えました。ローマから現代までのいろいろな歴史的様式をかき集めてきて、それをシャッフルして並べます。ある秩序に基づいて並べるのではなく、ランダムにシャッフルして並べます。なおかつモノが本来持っている大きさを、突然拡大したり縮小したりして、スケール上のシャッフリングもする。そういうことを積み重ねていくうえで、かなり本物のカオスに近いカオスがつくれるのではないかと思ってつくったのが、「M2」です。しかし、カオスで建築が都市に消えるかというと、やはり建築は消え切れません。人間がつくったカオスは、完全に都市の中に消去することはできないのではないかと私は強く感じました。それはあらゆるカオスの宿命で、建築だけではなく、文学でも音楽でもなんでも、人為的なカオスは、周辺のカオスの中には完全に消え切れない。なぜなら、そこに主体の意志が侵入してくるので、主体の意志を消去することはできないということです。
「梼原町地域交流施設」「亀老山展望台」「ヴェニス・ビエンナーレ'95日本館会場構成」「水/ガラス」「森舞台」「ミラノ・トリエンナーレ'96日本館アクティングコミッショナー」ほか