アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
その後も建築はどうしたら消えてくれるだろうかと考え続けました。そして、ガーデニングという考え方にたどりつきました。ガーデニングの魅力は、三つあります。一つは取り扱う領域についてです。ガーデニングとは領域の拡大です。建築というカタマリから環境全体へと、領域を拡大するのです。私は最近、「オブジェを設計してる」という言葉をネガティブな意味で使っていますが、建築というオブジェの設計を否定して、広がり・環境を設計していきたいと感じます。建築とはオブジェクトのデザインではなく、むしろ環境枝術といい換えられるのではないかと思っています。ガーデニングはまさにそういう手法で、環境技術そのものです。領域において、境界を撤廃する。それがガーデニングという概念の一番魅力的なところだと思います。
二番目は、主体の間題です。ガーデニングの場合、庭をデザインする主体は、ランドスケープという概念と徴妙に異なります。ランドスケープの場合には、主体はその環境の外にあり、絵や図面を描いてこんな庭をつくりたいと考え、それを実際に庭をつくる人に渡して、庭が出来上がります。
建築家が建築をつくるスタンスと基本的には同じスタンスです。主体は環境の外にあるわけです。ところが、ガーデニングでは、主体は環境の内側にあるわけです。要するに庭の中にずっととどまって庭の面倒を見ていかねばならない。デザインする主体が環境の外にあるやり方ではなく、主体が内側にある場合、最後までそのものと運命を共にしなければならない。つくったら終わりだというつくり方とは別のつくり方を要請していると感じられます。そこが私はおもしろいと思います。 もう一つは、時間という問題です。ガーデニングの場合、できた後もずっと続きます。できたのがいつなのかすらはっきりしません。建築物が、竣工という時間軸上の一ポイントで完成するのに対して、ガーデニングは、基本的には連続的な時間、流れ続ける時間、終わりのない時間を前提にしています。そこがおもしろいと思います。