アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
今日のテーマは「近作を語る」とありますが、最近の仕事の中でも、特に海外の仕事を中心にお話したいと思います。
建築の分野でもグローバリゼーションが進んでいる中、この10年くらいでわれわれも海外の仕事が増えてきました。そうした仕事を通して、日本とは何だろうか、と考える機会が多くなりました。また逆に日本の仕事を通じて、海外で仕事をすることの意味についても考えます。私は既に50年以上仕事をしているわけですが、若い時には国内でまかなえる素材だけを使って、いかに建築をつくるかという課題が常にありました。しかし高度経済成長期に入り日本が豊かになってきますと、海外から素材を輸入して日本の建築に使うということが可能になりました。その頃は素材に関してのみでしたが、中国など新興国の経済が台頭してきた現在では、素材だけでなく部品までも海外で調達するということが、世界各地で起きています。
海外で仕事をする時は、当然その地域の素材を考えなければいけません。しかし同時に、同種のものがどこでどのようなクオリティを持ち、どういう価格で手に入るかということも、絶えず考慮の対象に入ってきます。こうしたことは今建築家が直面している、グローバリゼーションのひとつの現実ではないかと思います。
海外のプロジェクトで建築のクオリティを確保するというのは、非常に難しいことです。建築家は建設する地域の文化だけでなく、現地の建築技術・施工方法のレベルや特質、素材や気候に関する広い理解と知識が求められます。そして建築規模の巨大化・分業化、それに伴って非常に数の多くなったコンサルタント間における、さまざまなコーディネーションについても細心の配慮が必要となります。
「名古屋大学 豊田講堂」「藤沢市秋葉台文化体育館」「ヒルサイドテラス」「スパイラル」「京都国立近代美術館」「幕張メッセ」「風の丘葬祭場」「福井県立図書館・文書館」「国立国語研究所」「東京大学 法学系教育棟」「島根県立古代出雲歴史館」「三原市芸術文化センター」「セントルイス・ワシントン大学 サム・フォックス視覚芸術学部」「シンガポール理工系専門学校キャンパス」