アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「マサチューセッツ工科大学 メディアアート・サイエンス研究室」は、計画途中で経済状況が悪化した関係で少し時間がかかったんですが、2009年の9月に完成し、2010年1月にオープンする予定です。かつてI・M・ペイが1985年につくった「メディア研究所」のエクステンションでもあり、その隣に「メディアアート・サイエンス研究室」は位置しています。この写真はボストンから見たマサチューセッツ工科大学の全風景で、白く見えるのが「メディアアート・サイエンス研究室」です。目の前にはチャールズ河が見えて展望が開けています。
施主が望んだのは、できるだけ「メディアアート・サイエンス研究室」をひとつの家のような雰囲気の建物としてつくってもらえないかということでした。「メディアアート・サイエンス研究室」には、二層分の吹き抜け空間を持つ、コの字型の研究室がいくつかあります。ティピカルな研究室の二階は回廊になっていて、その周囲には個室群があり、下の階は共同で研究ができる大きなオープン・スペースという組み合わせです。それが一層ずつずれながら連続して配置され、いろいろな空間があるのが特徴です。
実際は非常に大きな建物で、中央に下部アトリウムという吹き抜け空間があるため、視線が斜めに通るようになります。この下部アトリウムには、いくつかの大きな階段がダイナミックにかけられ、上のスカイ・ライトによって、光が落ちてくるつくりになっています。
最上階は非常に景色がよく、ボストンへの展望が開けているので、カンファレンス・ルームやイベント・スペースを配置しました。
一番上のカンファレンス・ルームからは、「ジョン・ハンコック・センター」や「プルデンシャル・センター」が見え、外にはちょっとした庭もあります。デ・ステイルはグリーンは使わないということで、それに合わせて階段にもブルー、レッド、イエローを使っています。
この写真は施工中の姿で、今この中ではさまざまな空間が構成されつつあります。この間も現地に行って見てきたのですが、割合と面白いスペースができ上がりつつあるのではかと思います。
外観は全面的に表がアルミルーバーのスクリーンになっています。こうしたアルミスクリーンの使い方は、だいぶ前に、「ザルツブルグ・コングレス・センター」のコンペの時に提案したことがあります。またわれわれの事務所がある東京の「ヒルサイド・ウエスト」でもアルミのスクリーンを使っていますが、今回の「メディアアート・サイエンス研究室」ではもっとスケールが大きいものを提案しています。われわれとしては、かなり精微な建物にしたかったので、カプルスインターナショナル社と日本のYKK AP社と綿密に相談しながら、全体のディテールのドローイングをつくっていきました。現在アメリカはLEED( 環境性能評価システム)が設置され、環境のエネルギー・コントロールに対して非常に厳しくなっています。日本でもそうなってきていますが、そうした数値を計算して出さなければけないという状況の中で、アルミのスクリーンを効果的に使っています。
この写真は二層分のアルミのスクリーンを横から見た姿です。これはパフォーマンス・モックアップと言ってフロリダでつくりました。そこでは気圧、水圧、振動などすべての要求に対して基準をクリアするかをチェックしてつくり出す設備が整っています。その次はケンブリッジでもう少し細かいエスタティック・モックアップという、コーナーのディテールなどを決めるためのモックアップをつくりました。現在、こうした二種類のモックアップをベースに施工しています。