アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「ノパルティスキャンパス 新社屋 SQUARE3」という建物です。ノパルティスとはスイスのバーゼルにある有名な薬品会社です。現在、大規模な建て替えが行われていて、そのうちのひとつをわれわれがやっています。マスター・アーキテクトをやったのはヴィットリオ・マニャーゴ・ランプニャーニというイタリアの建築家で、このプロジェクトでは世界各国から建築家が集まり、日本からも他に三人の建築家が呼ばれています。現在われわれのやっている建物は2009年4月くらいの完成を目指してやっています。
このキャンパス・プランニングでは、建物の幅、高さ、奥行があらかじめ決められています。そうした中で、われわれは「ブラインド・サーチ」と言っているんですが、一体どのくらいのバリエーションができるのか、まず一、二週間でいろいろなタイプのオフィスの可能性について探究をしました。
次にその中からふたつ、重要なアイディアを抽出しました。ひとつはさまざまなプログラムを持つ部門がこの五階建てに入るので、フレキシビリティがほしいということでした。そうすると少なくともスペース的に繋がったオフィス空間、あるいはリサーチ空間がよいのではないかということで、建物の両端に大きな螺旋階段のある吹き抜けをつくることによって連続性を与えようとしました。
それからもうひとつは、この建物だけでなく周囲にも四角い建物が非常に多いので、内部の環境の中でひとつの対角性をつくり出したいということでした。そのために、普通ですとコアも直方体のルールにしたがって中央に同じように配置するのですが、今回は階段室やエレベータコアを点対称に配置していて、またちょっとしたオープンなバルコニーはコーナーに持ってきています。またフロアは長手50メートルと結構大きいんですが、端から端まで見えるようなスペースもつくっています。それから構造も全部点対称で、中の自由柱も点対称で入り、対角性を強調したものとなっています。見ていただくと、それぞれ互い違いに空間があるようにつくられていることが分かると思います。天井もできるだけ、彫刻的な対角性が見えるようにしています。こうした部分で、われわれは常に模型を使ってスタディしているわけです。
この写真は、カーテンウォールのモックアップです。スイスは非常にグレア(光)や熱といった環境に対して敏感ですから、このカーテンウォールでは、四重のガラスを使っていす。まず内側に三層のガラスがあって、その外側にグレア対策のブラインドがあって、さらにそれを保護する意味合いもあって外側にもう一枚ガラスがあります。またガラスというのはどうしても外から見た時に、影によって黒く見えますが、われわれはできるだけ白い建物をつくりたいという目的があったので、不透明な部分には塗装したアルミパネルを内側に入れた、非常に賛沢なつくりになっています。
今言ったモックアップをつくるだけで数千万円単位のお金を使うのですが、幸い今回は施主の方でつくってくれという要求がありました。これによってアルミのパネルやガラスなどわれわれが期待しているレベルの建物はできるだろうと思っています。
螺旋階段は鉄板を曲げて固め、非常に施工精度のよいものができました。現在、施工の精度は、スイスと日本が一番よいです。その次が、ドイツかオーストリアあたりになるかもしれません。