アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「WTC タワー4」のオフィス用エントランスはグレニッチ通りに面していて、ここから入るとロビーとそれに続くエレベータコアがあるというかなり単純な構成です。チャーチ通りに面している裏側には、サンティアゴ・カラトラヴァのやっているPATH(編註:パストレイン。ニューヨーク市とニュージャージー州・ニューアーク市を結ぶ鉄道)の「ワールド・トレード・センター駅」と商業施設に繋がるモールを下部に持つアトリウムをつくり、そこは駅から上がってくる人がウォール街へ流れていくという場所になっています。つまり手前の方はこのオフィスに上がっていく人のロビーがあって、後ろ側は駅からの人の流れに対応できるプランニングになっているという明快なものです。それからコートランドというペデストリアンのための道があって、南西方向にはリバティ通りが通っているという、四方がそれぞれ違った環境です。
「WTC タワー4」の形は、上の方は小さなフロアにしたいというのもあって台形になっています。逆に下の方はそれぞれが違った、平行四辺形をしています。また彼らはコーナー・オフィスを非常に好むので、コーナーの部分に刻みをつくることですべての部屋にコーナーを設けられるようにして、同時に建物表層の構成を明確にしています。そして一階はわりと静かなかたちで、「メモリアル・パーク」にふさわしいインテリアをつくりたいと思いました。
「WTC タワー4」の一番大きなチャレンジは、ファサードにどういう質のガラスを用いるかということでした。二年ほど世界中のいろいろなガラスメーカーをチェックしながら、やっと今最後のところまできています。アメリカでは日本と違ってフラットなガラスにあまり関心がないんですが、われわれにとっては徹底して抽象的な建物をつくるという点で、うつりこみの少ないフラットなガラスは非常に重要なのです。
しかしいろいろな権益が錯綜している中で、これだけのお金と時間を使っても、まだここまでしかできないのか、というのがわれわれの実感です。「WTC タワー4」ではファースト・トラックと言ってどんどん分割発注をしていく方式なので、われわれ現在実際の施工者とワークショップ・ドローイングに近いところまでつめて、検討を行っています。