アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
フィラデルフィアにアネンバーグという、ニューヨークで言うとロックフェラーのような、美術館や芸術文化にいろいろと寄付をしている資産家がいます。そのアネンバーグが「ペンシルパニア大学 アネンバーグ・パブリックポリシーセンター」をつくるということで、その設計者に選ばれました。現在工事中で、2009年の5月に竣工して、11月にオープンする予定です。
敷地が割合と密集した所で、隣には1960年代のモダニズムの建物、もう一方の隣には切妻屋根の古い煉瓦造の建物があります。そのため、バラバラな建築様式を持った建物の間にいかにつくるかということを意識してやっています。
この建物は外から見ると非常に普通と言いますか、ガラスとアルミのカーテンウォールの建物ですが、その内側に可動の木パネルがあるというダブルスキンになっています。その間に空気が流通することによって、環境コントロールができるようになっています。同時に、中から見ると木がとても暖かみのあるスペースをつくりつつ、外から見るあると比較的クールであるという二重性のあるものを試みています。
中には小さなアゴラや吹き抜け空間があります。この時もかなり大きな模型を東京でつくり、現地へ運び込みました。ここでは内側のフェネストレーションの、スケールのあるものをつくりました。他にも実際に現地でフルサイズのモックアップをつくって、内側の木と外側のガラスとの関係のあり方など、われわれの事務所が全部チェックしています。
現在既にカーテンウォールの部分はできています。後ろの方にサンドイッチした木パネルがあるんですが、これは全部メープルです。それから階段室があるんですが、ここにもドイツ製の、ふたつのガラスの間に木が入ったものを使っています。
だいぶ前に「富山国際会議場」(1999年)をつくった時も、できるだけ内側に暖かみのある空聞をつくりたいということで、やはりパブリック・スペースにこうした木のスクリーンを使いました。その経験から今度はもう少し、建物全体をオフィス環境、研究室環境としても何かあり得るんじゃないかというかたちでやっているわけです。そうすることでふたつのスキンの間を空気が循環する、環境的にも性能のよい建築をつくろうとしています。