アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
若手建築家として常に注目を集めてきた隈氏。20世紀の建築を支配してきた、都市と郊外という二つの対立する美学をたどりながら、現在の世紀末に現れたポストモダンやデコンストラクティビズムを、隈氏の作品を取り上げながら解説する。
M2はプロジェクトそのものがたいへんユニークな形でスタートしています。自動車会社のマツダが、いままでのマツダをM1として、いままでのM1でできなかったことをやる会社としてM2をつくろうとしたわけです。(中略)たとえばイオニア式の柱を極端に変形し、巨大化して建物中央に使っています。この部分は建築法規的には全くの工作物扱いで、本体と縁が切れた看板的なものです。柱頭部分はコンクリートの型枠でつくって、その上に石粉の吹き付けを施しています。日本の型枠の技術があったからこそできたものです。外人のほとんどの人がプレキャストだろうといいます。現場打ちのコンクリートでここまでの型枠をつくる技術は世界でも日本だけだろうと思います。(中略)建物正面の左側のカーテンウォールの部分は、アルミでなくシリコンガスケットで止まっており、ガラスの透明性を強調しています。つまり、透明性の美学と不透明性の美学をラディカルな形でぶつけたい、という意図を表現しています。シリコンガスケットはまだ日本ではできなくて、イギリスのものを輸入して使いました。そこからバルコニーが飛び出しています。バルコニーの形状はレオニドフというロシア構成主義の建築家のモチーフの引用です。
「伊豆の風呂小屋」「キヨサト閣」「経堂グレーチング」 「GT-M」「De/町屋」「RUSTIC」「マイトン・リゾート」 「ドーリック」「M2」 著書 「10宅論」(トーソー出版、ちくま文庫) 「グッドバイ・ポストモダン」(鹿島出版会) 「建築リフル・シリーズ」(TOTO出版)