アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
1996年に行われた「はこだて未来大学」のコンペ案です。伊東豊雄さんが審査員をされたコンペで、一等は山本理顕さんです。
函館の郊外の丘の上に情報系のキャンパスをつくるという計画で、開かれた大学を目指したものでした。そんな場所で門を開いても入ってくるのは牛ぐらいで、それだけではダメです。函館の市民が積極的に入ってこれるような何かを企画すべきだと考えました。建物の中にコリドールをぐるぐると通して、市内の図書館のコンピュータやIT関連の分館を置いてはどうかと提案しました。このコリドールには図書館だけではなくて市民が食堂や喫茶店を開いたり、学生がパソコン教室を開いたりできるようなテナントの場所も確保しておきます。大学の施設の中を通り抜ける消化器官のような空間です。口から食物が入って胃袋を通って出ていくという消化器官は、体の中に入っているけれど空間としては外部です。外の空間が体の中を通り抜けている状態で、そこを介して必要な栄養分や水分を摂取して不必要な老廃物を排しているわけです。
ヒアリング審査の時に市の助役さんに「丸いものが建物の中に入っているとデッドスペースがあちこちにできませんか?」と聞かれて上手く答えられず、またしてもあえなく落選となりました。ここで私は、ハイブリッドな状態、あるひとつの機能のために単一の空間が用意されているのではなく、その中でできるだけ異質なものが接し合うような空間をつくることで活性化できるのではないかと考えました。