アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
これからお見せするのは、ある一つの建築のための作業過程の一部です。作業の時間的経過にしたがって少しずつ変化していく様子がよくわかります。この建築のスタディを通じて、実は、建築についての考え方というものが若干変わり始めました。今は次への模索を論理的に始めたいと考えております。建物の機能は5,000人のホールの見本市会場、そしてコンベンション施設がいくつか集まった公共の複合建築です。
まず、その初期の段階でのスケッチです。次は、フォルムによって建築のエレメントの関係を表していこうという意識が強く働いている段階のスケッチです。そこからさらに少しずつ様子が変わり始めます。エレメントがお互いの引力を離れて少し飛びまわり始めます。それを形にしていきます。建築の形態になってもエレメントの浮遊状態が顕著に現れています。それがよりはっきりした状態に移っていきます。平面図、立体図へまとまっていきます。さらに模型が出現します。筆を使ってさっと描いたドローイングなども出てきます。
この段階で第一段階のプレゼンテーションとなります。そこから出てきた若干の反省材料を加えて、それはそれとして作業を続行する中で、突然ちょっと変わった建築が生まれました。デスクに向かっていて居眠りをし、目覚めて瞬間的に描いたスケッチをお見せします。エレメントがより自由に浮遊し始めます。こうしたプロセスは今でこそ整理して説明できますが、作業を進めているときはこれほど順序立ってはいません。
「形式から余白へ」という今日のタイトルさながらに、非常に形式的なポジショニングとエレメントの配分を考えながら建築をつくる。そのヒエラルキカルなシステムのエレメントの関係を取り出した図をつくりました。
二つのエレメントを線分が結びつけていますが、その線分とはいかなるものか、ということを考え始めます。線分がふくらみを持ち始め、突然エレメント自身を包んでしまう。そうした状態が空間的にあり得るのではないか、と考え、それをより広やかに建築的に解釈していくと、さまざまなエレメントを線分で包んでしまう、ヒエラルキカルなシステムの逆説としての建築が誕生します。それを象徴的に表す言葉としてそのときにひらめいた言葉を使い始めております。
一つが「エーテル・プランニング」です。かつて地球物理学の世界で、宇宙にはエーテルが満ちている、という説がありましたが、その言葉を借りています。もう一つは「シー・プランニング」つまり海のプランニングです。
その最初の試行錯誤の結果としての建築が誕生しつつあります。島根県の見本市展示場施設メッセで、現在、躯体が建ち上がりつつあります。このメッセについてもコンピューター・グラフィックスを制作しました。このCGは、さきほどのエーテル・プランニング、シー・プランニングと名付けた僕にとっての一種の新しい方法論をよりうまく説明するために作成したものといえます