アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
私の住居です。二十数年前の作品です。対称のかたちを持った住宅です。この頃、私は反射性住居という一連の住宅をつくっていました。私の家は南北の軸を持っていて、その軸にそって実際に光が入ってきます。すると、光と影によって対称性が崩れていきます。一日のうちにシンメトリーが崩れていく状態を現象するかたちで計画したのです。ですから、一日に一度は光と対称軸が合います。時間的状態の変化が、本来持つ対称形プランと一致し、光と影がその対称性とピタリと合う瞬間を持つような室内を計画しました。トップライトから第二の屋根と呼ばれるそれを通して実際に光が入ってきます。夜になると、その部分に光がともるのですが、たまたま人がいる部屋が全体の照明となり、偶然的にまわりの部屋に光がともっていきます。そして、それが全体のリビングルームの状態をつくります。夏になると庭に葉が茂って自然冷房ができ、冬になると葉が落ちて日が当たる日本の伝統的な庭の仕組みも取り入れています。
沖縄の集落をストレートに入れた学校です。それぞれの部屋にトップライトと空気抜けの窓があり、ひとつの教室がひとつの屋根を持っているかたちでつくりました。気候が比較的落ち着いているために通風計画が大切です。庭と一体になり全体に壁がないオープン・スクールのスタイルをとっています。
沖縄の集落は生活環境が良いために分棟式となっています。人びとの動きは、棟から棟への往来、つまりさまざまな経路がそこに発生するようにできています。人びとの運動において時間性を計画するほど厳密なものではありませんが。この小学校も同じように、経路がさまざまに発生し得るかたちで壁を取り除いていきました。それはある意味で、建築を〈場〉とする場の概念を全面的に展開しようとしたといってもいいかもしれません。
暑いところですから室内にはトップライトの光をあまり必要としませんが、その光が差し込むことで天井の様相論的変化を発生させることを意図しています。
軽井沢にある田崎美術館です。時間的にいうと、ある特殊性を持った美術館です。多数の作品の保護や展示という意味で、美術館は比較的均質性を要請されます。ですから、普通の美術館だと一年中開館してますので、つくり方に限界があります。しかし、この美術館は軽井沢にあるために夏の間だけ開館され、作品も田崎さんひとりの作品だけを展示するということで、自然の変化に合わせた建築が可能です。
そんなことから、外光を入れながらつくっていきました。光源を人工照明に頼らずにつくっていくわけです。雲形の屋根は光の反射板としての屋根を考えたときに、透明な軽井沢の空気をさらに一層透明にする効果を狙ったのです。実際に行ってみるとわかりますが、このあたりは十分明るいところです。そして、さらに明るいような雰囲気がこの美術館にはあります。さまざまなかたちでのリフレクションと光のミクスチャーがなされています。いろんな角度から入ってくる光のミキサーとしてつくる計画法により新たな室内の状態をつくることができます。光の一種の融合とでもいいましょうか。展示スペースでないところには光が直接入り込むようにもしています。室内に現れる形態の時間的変化を考えた作品です。
雲形屋根は、防水などに注意しなければいけません。雪はそれほどでもありませんが、屋根が凍る現象に対して実際にヒーターを入れたりして、ディテールや雨樋の計画などをしてみました。雨樋のかたちを見ていただくとその一端がわかると思います。