アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
山梨県はフルーツパークを丘陵地のブドウ畑に計画してきて、急にその中に施設をつくろうということになり、関係者の方々が「湘南文化センター」がお好きだということで、私に特命で仕事を下さったのです。
この建物のイメージですが、種子が飛来してこの場所にその生命を宿す、場所によって違うブドウができるというそうした多様さを建築に表現できないかと思いました。種子が飛来する様子やくだもののかたちなど、豊かさに結び付くものがありますので、そのかたちがグラスハウスにならないかとスタートしました。
大きな木に緑やくだものがゆったりと付いて垂れそうな感じのもの、種子が地面に舞い落ちてこれからそこに根付くという感じのもの、そして生まれてきたくだもののかたちなどを最初のイメージでつくりました。私たちはイメージをつくりながら、活動のプログラムを起こし、運営の提案をするなど、ソフトづくりを平行させました
地上に、ドームをつくりたいと四つぐらいのドームにした案もありましたが、どういう展示ができるかまだわからない時点で、なるべくボソッとしたホワイトボックスを残しておこうということになり、斜面に非常にシンプルな箱を埋めることにしました。
「くだもの広場」と「トロピカル温室」は地下の「くだもの館」(地下展示室)を通じて一連になっていて、ワークショップのための工房は離れています。斜面を利用し、一部を埋め込んだり、斜面を取り込みながら埋めていく手法で床をデザインしました。このモデルを決めていくために、まずCGで描き、次にプラ棒で模型をつくりました。ロンドンのRIBAでCGを使って講演をした際、オーヴ・アラップからいっしょに構造を解析したいとメッセージがあり、ロンドンのオーヴ・アラップに模型を見てもらい構造を解いていただきました。歪み、変形するものの力学を、合理的で明解なるものとして解いていくことに協力してもらいたいと考えて、構造を依頼したわけです。鋼管の単層の格子構造という、明解なものになっています。
「くだもの広場」は放射状のアーチ構造になっています。中はガラスでおおわれたオープンな広場です。こどもたちが水遊びをしたり、遊戯をしたり、触って音をつくって作曲したりなどいろいろ遊べるようになっています。ビュッフェもあります。音楽会などができる野外ステージをおもわせるステージと階段状の客席があるインドアガーデンです。
センサーでブラインドが一時間に一度、太陽熱に合わせて動きます。ゲーム的にからくり時計の役割もしていますが、大事なことは、エアコンディションをしていないので、空気を煙突状に上に抜くかたちで、できるだけ上手に日よけとして使っていることです。
複数のドームがいろいろな関係をもって見えるよう配置するのに非常に苦心しました。種子と木とくだもののイメージのそれぞれの建物を重ね、一群の施設としてフルーツの生命力みたいなものを表現したいと思いました。ひとつではどうも成り立たず、その重なり具合を非常に意識しています。
「葉っぱの家」と呼んでいる作業所兼休憩所もつくりました。まさに葉っぱをひろったり、種子を蒔いたりしてメンテナンスをする空間です。住宅のような規模ですが快適な作業所です。