アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
古代ローマの復元模型の写真と、宮古島にいったときに撮ってきた写真です。ここで二つの多様性を見ていただきたいと思います。自然と都市、自然と人工物など、しばしば二極対立的に環境について語られることが多い。宮古島のサトウキビ畑の写真ですが、人間の手が入って、農作物が育っているわけです。これは人工といっていいのか、自然といっていいのか、なかなか中間的なことばが存在しません。
都市と自然をあまりにも対比的にとらえすぎてしまうと、新しい見方ができなくなってくることもあるのではないかと思い始めました。畑の風景を見ると、そのシステムがすごく住宅地のシステムと似ています。一つのエコ・システムとして見ますと、それは意外と造形的にも似ています。もののあり方としても似ています。そこで、人間を自然の一部分にあるものだというシステムとしてとらえると、きわめて類似したものかもしれません。少し脱線しましたが、この話は、先日友人の竹山聖さんと会ったときに話題になりました。
二つの多様体、さまざまなものが共存しながらパッチワーク状にあり、それで一つの環境が形成されています。海の中も含めてさまざまな生物やいろんなものが共存しています。相互に影響を及ぼしあっています。
都市の中でのミディアムは、人工的な建築物が占める割合が非常に大きいわけです。一方、自然地形の中では文字どおり「土」がその母体グラウンドを形成しています。自然地形のグラウンドに関して建築家は、悲しいかな与えられた土地対してあまりコミットできません。それは設計以前の与条件と長い間考えられてきました。しかし,日本の住宅地景観などを見ると、土木の人が道路をつくり、雛壇造形をし、それからその上に建築物を建てるのですが、どんなに美しい建築物を建てても、建築とその土地が相互に高め合う関係にならない。[1+1=3]の関係にならないんです。そういう中で建築をつくっていることがだんだんわかってきて、もっと総合的に一体となった中で建築の構想、土地のデザインの構想を進めていく必要があるのではないか。現実の土に対して積極的にもっとコミットしようと思ったところから、都市のミディアムとしての建築と現実の土がイメージの中で通底するようになってきたのです。