アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
次は「山下公園債整備」です。これは人形の家の、通りを挟んだ向かい側にある公園の整備計画です。人形の家の敷地は元々観光バスの駐車場だったわけですが、この界隈には全国いろんなところから多くの人が一年中訪れますから、駐車場が足りない。そういうことで、山下公園のいちばん端のところに駐車場をつくり、その上を公園化しようという計画です。
山下公園もこの辺は前面が山下埠頭で、海が目の前というわけではありません。だから、ここに駐車場をつくって、立体的に敷地を利用しながら、小高い丘の上の公園にして、繰り広げられるイベントの観客席になるような役割も持たせようと考えました。坂倉建築研究所はコーディネーターとして全体のデザイン監修をしました。
山下公園と人形の家をポーリン橋という橋で結んでいますが、道路を直角に横切らずに平面的にうねって架かっています。これは、道路にあるイチョウ並木の大木を切らずに架けられるルートということで決めました。この橋を歩きますと、イチョウとか公園の緑とかで緑の海の中を行くような雰囲気があります。 中心にアートフォーラムと呼ぶ広場をつくりました。ここは、壁と池で囲まれた半円形広場で、その中心に噴水池があり、水が大階段のほうに流れていきます。広場は、六つの大陸を象徴した放射状の道をパターン化して表現しています。彫刻を置いたり、屋外パフォーマンスやアートエギジビションにも使えるような場所として設定しました。広場には小さな台がたくさん置かれ、子供たちが乗って遊んだり、彫刻を置いたりします。この台や柱の上にも照明が仕組まれています。 夜は、これらの台や柱に仕組まれた照明が灯いて、また違った雰囲気をつくり出します。
山下公園通りの歩道に沿って約120メートルほど駐車場の外壁が続くことになるのですが、単調な壁では面白くないということで、歩道沿いのペデストリアンデッキに上がる渦巻き型のらせん階段、通りから公園に上がっていく貨物船のクレーンをイメージした吊り階段などを配し、ペデストリアンデッキにも船のデッキをイメージしたパーゴラを設置するなど、港に関連のある楽しいデザインを散りばめています。通りを歩いていても楽しい場所に使用と言うことでデザインしました。材料はほとんどコンクリートで、薄く色のついた透明塗料を吹きつけ、ところどころにタイルを使っています。
アートフォーラムの広場から人形の家に向かう途中に、緑のトンネルということで金属のパーゴラをアーチ状につくっています。足下につる性植物を植えてありまして、五年もすると緑のトンネルになるはずです。
この公園では、造形と同時に照明計画を細かく考えました。緑のアーチの足元にも照明が組み込まれており、緑を下から浮かび上がらせます。
山下公園からポーリン橋を通り、人形の家からさらにフランス橋を渡ってフランス山のほうにいくというペデストリアンデッキの計画、そして公園の再整備については、横浜市の都市デザイン室というまとめ役が果たした役割は非常に大きいわけです。たとえば、ポーリン橋をS字型にするなんていうことも、当初はそんな橋はまずいといわれたのですが、緑を守りたいという緑政局の応援の下に都市デザイン室の“オーケー”の一言で採用されました。