アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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大江 匡 - 都市へのプロトコル
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東西アスファルト事業協同組合講演会

都市へのプロトコル

大江 匡TADASU OHOE


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はじめに

今日は「都市へのプロトコル」というテーマでお話したいと思います。プロトコルとは、もともとは、いろいろな国と国とが条約を結んだりするときの外交上の規約のことですが、現在ではコンピューター用語に転じていて、コンピューター同士の接続の方法や基準となっています。パソコン通信を多少される方はわかると思うんですが、途中に「プロトコル確立待機中」などのことばが出てきます。

私がプロトコルをいうのは、都市をよく考えてみると、都市や社会は、インターネットのように、非常にアンコントローラブル、つまり、コントロールできないようにうごめく、非常にぐちゃぐちゃした状態であるわけで、そこに建築がほうり込まれることは、どのようなかたちで都市に接続をしていくか、という接続の方法論が問われるのではないかと思うわけです。

私の事務所はメディア化していますが、メディアも最初出てきたときには、技術論から出てくると思います。今でいうとワープロやインターネットですが、それはひいては思想を変える可能性があるわけです。
 かつてそういったメディアが二つ存在したと思います。一つは印刷術です。 王権が共和制になったときには印刷術がありました。それまで本は書き写して、ある人が声として読んだわけです。ところが、ルソーの啓蒙思想の頃に、印刷術が発達して、発禁本であった啓蒙思想が一気に町に流れ出しました。それとともにある年数が経つと、そこで王権が倒れて共和制に変わりました。

それからもう一つは、最近の例でいうと、東西ベルリンの壁の崩壊です。これも潜在的なところにはテレビがありました。テレビが約五十年前にできたわけです。それから五十年経って、メディアが身体化する場面があると思うんですが、自分の身体のようになる。要するにそれぞれの民衆というか、大衆の心の中に身体化して入っていったときに、思想体系を変える可能性があるわけです。そういった可能性を秘めていると私は思います。

現在、複雑性や多様性とともに、阪神大震災をきっかけに、環境や、磯崎新さんが新聞で物質ということをおっしゃってましたが、そういったリアリティーの問題が出てきているわけですが、これからはそれが併存していくと思います。メディアだけでなく、物質やリアリティーが併存していく時代に入っていくのではないかと思います。

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