アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
動く空間と使う空間をそのまま同じものとして立ち上げようとした「森の別荘」を手がけている最中に、派出所の仕事が始まりました。調布駅の周りには大きな高い建物が押し寄せているのですが、十五坪ぐらいの建物でありながら交番の機能上、ある意味では目立つもの、ランドマークのようなものを求められました。
六畳のオフィスと六畳の待機室と六畳の休憩室といった具合に、面積まできっちり決められていて、それを自然につくっていくと、小さい住宅のようなものになってしまいます。そこで、オブジェのように目立たせる野ではなく、建築のようにもオブジェのようにも見えるものを目指しました。面積が決まっているので、平面的な大きさは規定どおりで、高さだけを少し伸ばし、住宅とは異なるプロポーションにしています。
危険があるので、後ろに待機スペースをつくること、前にオフィスをもってくることなどの指導を受けました。
厚い壁二枚が立っていて、それをリング状の梁で止めています。そのリングの中に、昼でも利用する仮眠室があります。側面や天井、屋根面は構造からフリーになるようにしたので、そこをガラスとスクリーンにして光を取り入れています。
駅にアプローチしてくる人の視線がどこか一点抜ける場所をつくろうと思い、穴を開けました。この開口から駅の反対側の広場の空が見えるようになっています。
I では、商店街にびっしり囲まれている敷地に貸しスペースをもつパチンコ店をどうつくるか、II では、増築ということに対してどういう解答があるのかという用に、今までやった二つのパチンコ店については、考える幅がありました。しかし、IIIは正真正銘のただのパチンコ店を郊外に建てるということで、逆にどうしたらいいかわからなくなってしまいました。どんなかたちでも建てられるので、初めのうちはいろんなことをやっていました。バリエーションをつくり続けていくうち、どれもバリエーションの一個でしかないということを思うようになり、最終的には四角形に戻し、少し曲がった前面道路に沿って壁を曲げたかたちに落ち着きました。ホールの横にオフィスがあり、片側に景品交換所があるという一般的なパチンコ店のプランを使ったんですが、断面的に床を曲げたので、本来なら一階にオフィスとパチンコホールが並んでいるところが、スラブが上がってきて、一階のパチンコホールと二階の休憩室がいっしょになったようなプランになりました。
クライアントから、「今度はガラスを少なくして明るいイメージで」という課題が出されました。ルーバーなどにすると非常にお金がかかるので、私たちがとったやり方は、スチールのパネルを曲げ、そこをスリット状にしてガラスをはめ込み、フィルムを貼ることです、夜になると、中のかたちがそのまま外側に浮き出てきます。光沢のある塗装ナノで、昼間は空などを映し出しています。
スラブが上がってくるところにレストスペースがあり、ゲームの途中で休憩する人が、ここに座ってホールを眺められるようになっています。下には、オフィスが隠れています。
ここで使った斜めの床は、I をつくったときから考えていました。一階と二階を近い関係につくりたかったので、いろんなことを試みてましたが、結局レベルが違うと、平面的な移動と垂直な移動になり、体験としてはどうしても違ってしまいます。したがって、レベルの違う階を斜めにつないでいくしかないと、あの頃から考えていたことをここでやってみました。II では二階にレストスペースをつくったのですが、実際にはなかなか人が上がらないようでした。しかし、ここでは、まさにレストスペースとなって、人びとが腰を下ろしていて、好評のようです。