アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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妹島 和世 - 自作について
町のグリッドを崩さない建築
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妹島 和世KAZUYO SEJIMA


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町のグリッドを崩さない建築

この二月に落選した「イリノイ工科大学スチューデントセンター」のコンペ案です。これも佐々木さんにお願いして、一緒にやりました。

レジデンシャルゾーンとアカデミックゾーンの真ん中に、シカゴの名物「エル」という電車が通っています。真ん中の四ブロックが敷地で、学生センターをつくりたいということでした。ミース・ファン・デル・ローエの計画は学校を町から閉ざす方向ではなくて、その町と共存するようなかたちでつくられています。

マスタープランが、シカゴグリッドという町が持っているグリッドを尊重するような配置になっていて、今でも学校の中をその電車が通るし、すごい交通量の多い道が通ってます。私たちがそこで提案したことは四ブロックが敷地なんですが、そのシカゴグリッドをまたがないような、その一ブロック自体がほとんど建築をつくるような提案をしました。

もう一つ要求として昔の問題だったのですが、私たちはIITの場所の部分だけエルをガラスでカバーして、それを防音壁にして、そこからフリーにして、アカデミックゾーンとレジデンシャルゾーンが切れている二つをこの建築がつなぐような提案をしました。

プランは一万五、六干平米です。電車の下を通すのでとても低くて三・五メートルぐらいの薄いボリュームです。そこに六メートルグリッドで、要求されたものが五つのゾーンだったもので、庭を取ってゾーンを分けていくような考え方をしました。その庭はブロックを分けるし、その庭がそれぞれのゾーンの人たちの専用の庭になります。奥行きがあって低い天井なので、暗い場所になるはずですが、庭があるからその明かりを頼りに入って行けるというような案です。

庭が全部グリーンガラスでできていて、すごく奥行きがあるんですけど、まったく奥行きがないような白昼夢みたいなそういう中を人がうろうろするようなものをつくろうとしました。屋上は全面ルーバーになっていて、空を映します。そこが一番広い面積なので、電車に乗っている人に対するIITのプレゼンテーションボードとして使おうとしました。

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