アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
最後ですが「ひたち野リフレ・ぴたち野うしく駅駅前利便施設」です。茨城県の牛久市にできた新しいJRの駅前広場に建つビルです。これから開発をするところなので、何かその場所のランドマークになるようなものをつくって欲しいということでした。プログラムは普通のテナントビルです。二階だけデッキが入り込んでくるパブリックな場所で、ATMやバスのチケット売り場、小さな喫茶店が入ります。
一般的なテナントビルというプログラムで、ランドマークとなる建築とはどういうことかと考えました。三年ほど前に敷地を見に行ったときは、駅すらまだなくて、工事も始まっていませんでした。道もなく荒野が広がっていました。そのときに考えたことは、何かを根拠にしてつくろうとしても中の機能は変わるだろうし、外部も開発が進んでどんどん変わるだろうということです。もう一つは、見えるものがそのままその場所をつくる、もしくはそれがコンテクストだと考えるのも片手落ちな時代にきているだろうということです。ですから、はじめ考えたのは駅前広場に面するファサード一面をガラスのルーバーでつくり、そのルーバーの角度を変えて、目に見えているものだけから目に見るものとは違った風景をこの上で再構成しようとしました。例えば空の中に駅前広場のグリーンがぼんと浮かぶとか、中の人の働いている姿がそれにオーバーラップしているとか、そんなイメージでした。
三年が経って大きな駅ができて大きな歩行者のデッキができました。そこで、何か見せるというよりは、見えているものが見えないものにしようとシミュレーションしてルーバーを十五度上へ向けて、空を映す建物となりました。看板が入るところは平らにしています。それ以外は上向きになっています。例えば、雨が降りそうで空が自っぼいと、ほとんどファサードも真っ白になって、どこがエッジかわからないように見えるときがあります。逆に晴れた空に雲が出ると雲がガラス面、つまりファサードー面に映ります。雲がないときは真っ青なブルーになります。つまり目で見える環境がどんなに変わっても、このガラスのファサードの面に映るものは何も変わりません。ただし、刻々と天気によって表情を変えます。
逆に強い光が当たる朝と夜は、完全に透けて、ガラスのピースが消え、構造のフレームが浮かび上がります。ガラス面は消えてなくなります。遠くから見ると映像的な建ち方で、近づくと物質みたいなものが現れてくるような建ち方であると思っています。
内側には引き違い窓が入っていて、オフィス空間でも自然換気ができます。すべてフィックスされたカーテンウォールじやないようなスペースをつくろうと思いました。