アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
2000年に行われたヴェネツィア・ビエンナーレの会場構成で、コミッショナーは磯崎新さん、キュレーターは小池一子さんです。津村耕祐さん、ヘレン・ヴァン・ミーンさん、できやよいさんという三人のアーティストの作品を展示する会場の計画を私と西沢にやってほしい、そして会場がそのままインスタレーションになるようなものをつくってほしいといわれました。はじめはどんなことをしていいのかも、何を求められているのかもわからなかったのですが、とりあえず現地に行ってみると、ビエンナーレの期間以外は閉められているのですね。誰もいなくて、ゆっくり歩くと本当に気持ちのいい公園だということがわかりました。そこで、なるべくそこにもともとあるものが引さ立つような計画ができないかと思い始めました。最近のビエンナーレでは、ピロティを閉じて部屋をつくったりするケースもあったようですが、むしろ吉阪隆正先生がつくられたそのままの状態に戻した方がいいように思いました。また、小さな裏庭があるのですが、そこもすべて使うことで建物が公園の中の休憩所のようなものにならないかなと思いました。というのも展示室の中だけが会場ということではなくて、敷地全体が展示室になるように、つまり中でも外でも展示がでさるようにしたかったのです。
私たちは、ピロティの下の部分だけをクリーニングして、アーティストが作品を展示できるように塗装をし直しました。
上の部分の苔などはそのまま残しています。インテリアでも、竣工後に貼られた壁材などはでさる限り外し、もとの形に戻そうと努めました。床や外構には白砂利を敷いたのですが、勾配のついているところだけは砂利が流れてしまうので、人工の花を飾りました。虫はこの花が偽物であるということがわからないんですね。間違えて、いろいろな虫がやって来ました。
インテリアにも造花を使っているのですが、これは荷重計算をした結果、人が乗ってはいけないところができてしまったからです。その部分には人が入らないようにマーガレットの造花を差しています。