アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
オランダのアルメラ市に建つ劇場と支化施設のコンプレックスです。
アルメラはアムステルダムから電車で二、三十分行ったところにある町です。二十年ぐらい前にオランダが賃貸住宅主体から持ち家主体の住宅攻策に切り替えた際、二、三階建ての庭つき住宅を数多く供給したことで人気が出て、急速に大さな市になりました。そのために市は、急ぎ都市施設を整備する必要性に迫られ、マスタープランを選ぶコンペを開催したのです。このコンペに勝ったのはレム・コールハースさんです。とても広いエリアを対象としたマスタープランで、このスタッドシアターはその一部です。このほかに、集合住宅やホテル、シネマシアター、スーパーマーケットなどが計画されていて、そのうちのいくつかの建物はもう建ち始めています。
レムのアイデアは、人のための床と車のための床という二層の床を使うものです。下がパーキングで上が人というのが基本ですが、場所によっては分離しないでくっついたり、上だったものが切り込まれてそのまま地下へ続いていったりします。
このスタッドシアターは人造湖の上に建ちますので、四角い敷地の一辺しか陸地に接していせん。そのために搬入も人もみな当然陸地側から入るという構成になっており、施設に入ってしまえば、まわりはすべて湖。ただ湖が見えるだけというロケーションです。
要求されたのは、大劇場と中劇場と小劇場、そしてピアノやアンサンプル、クラフトやペインティング、またコンピュータなどのための教室として使う小部屋です。ここで私たちが提案したことは、大きな劇場もそれから小さなピアノ教室も使う人にとってはそれぞれ同じように重要な場所ですから、全部を同じような形で等価に並べようということです。そのため構造材も仕上げ材もすべて同じ厚みでつくることで、より等価な空間をつくることを提案しました。
もうひとつの提案は廊下をつくらないということです。実際はホールと呼んでいる部分が廊下の機能を果たしているわけですが、いわば大きな公園の中に劇場や小部屋があたかも公園施設のようにつくられているという感じにしたかったのです。廊下を通って目的の部屋に行くというよりも、公園を散歩しながら移動するようにしたいと思いました。
あるひとつの部屋にいる人は、自分のいるところがインテリアで、その先は外のように感じます。しかし、部屋を出てみると、そこもまた別のインテリアで、というように入れ子の構造になっていて、水際までそれが続いていればいいなと思いました。すべて四角形の部屋のつながりだけで構成されています。
大劇場は、周囲の壁を移動したり、天井を上下させることで、空間のヴォリュームが変化するシアターをつくろうとしています。
当初、外壁や間仕切りのパネルは60ミリで提案していたのですが、今は70ミリを考えています。どうしても大さい音を出す教室などは、もう一枚ガラスを入れて音の問題をクリアするようにしています。視覚的には、いろいろな経験が重なり合うようなものをつくりたいという意図から、ガラス越しに見えるものが動き回ることによって、さまざまに変化し多様に感じられるように計画しようとしております。
また、最初は屋上をパブリックな公園にしたいと思っていたのですが、管理しきれないということで、中庭からだけ上がれるようになっています。この中庭からの中心部も外気に接することができるようになっています。