アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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新居 千秋 - 建築の境界—文化運動としての建築
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東西アスファルト事業協同組合講演会

建築の境界—文化運動としての建築

新居 千秋CHIAKI ARAI


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REGIONAL INSTITUTIONとしての建築

Regional Institutionというのは、地域を活性化するある種の制度のようなものをつくり得る建築、あるいは建築群を指します。それは一九九二年に大分県で着手したアメニティタウン構想からはじまります。平松守彦知事が、当時の日本建築センターの理事長である澤田光英さん、理事の大川陸さん、建築家の磯崎新さん、そしてプランナーの蓑原敬さん、ワーキングとして三人の建築家(栗生明さん、岩村和夫さん、そして私)を起用しました。そこでは今までの都市計画、都市設計でなく、Urban designからひとつの建築を核として、過疎の村をどうするかという問題を解こうとしたことにはじまり、果たして建築は地域を救うことができるかということを考えたのです。それはシンボルゾーンの提案や機能の集中、美しい景の見直し…とつながり、平松知事による一村一風(一村一品に対して、ひとつの村にひとつの景色)構想になりました。

その後、国東町において、町全体をコンピュータに入れて、その町全体を設計するとどうなるかについて、町の人たちと二年間にわたって考えています。敷地や建てる建物も決めずに、地域の人たちと町を観察し、そこの中からいくつかの候補地を選びました。そこに建築を設計して、町の将来を捉えて、いくつかの建物群で町の活性化を図り、時間をかけて建てるというものです。 例えばモニュメンタルな建築やサッカー場は、二百億円から三百億円かかりますが、その投資が地域に及ぼす影響は、設計期間の一年から二年と、施工中の一年から二年、築後の一年から二年、すなわち五年程度のインパクトしかありません。しかし国東の場合、同程度の予算で1.文化ホール+スーパー+町民プール、2.町役場+生涯学習感施設、3.公営住宅の建て替え、4.都市公園整備、5.漁港の整備(ショップ、レストラン、屋外シアターなど)6.ホテル+バスターミナルができます。これを四年程度で一ゾーンを終えるとすると、ほぼ二十四年かかる計算になります。また各段階で施設を吟味、改良を加え、さらに一ゾーンの中の仕事を三から四分割してやりますと、同時に多発的に街の中で何かが建て替えられ、街がアクティブで活性化し続けるということです。前にいいましたモニュメンタルな建物では、四歳の子供に八歳までしかインパクトを与えることができませんが、Regional Institutionの考えでいけば、四歳の子供に、二十八歳になるまで影響を与えられます。また加わる建築家にしても、五年程度のかかわりあいと、二十四年とでは違いますし、街のコンサルタント、景観についての長期のアドバイスなどができます。また街の調査によって、美しい景都美しくない景を選別し、美しくない景に対して補正を加えていけば二十五年後には、その街は日本の中でも、特徴のあるものとなると思うのです。

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