アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
大分県にある「野津原町庁舎」という伊東豊雄さんとの作品です。先ほどの古河と同様屋根に特徴があります。
大雑把にいうと三十メートル掛ける七十五メートルの屋根でして、その短辺方向三十メートルに対し真ん中のあたりで十五メートル、六メートル、九メートルのスパンに分けています。内部がそのようになっているわけですが、それを一枚の均一な厚みの板だけを乗っけてしまおうということです。梁は内部にありません。
ミースのバルセロナの作品の現代版を鉄板でやったらどうなるかと。バルセロナのスパンに比べて、これは十五メートルという大きなスパンなんですが、構造として十八センチぐらいで納めたいというところからスタートしました。
芯材にS−60(一・六ミリ厚)という標単的なものがありますが、そういう折板の上下にスパンに応じて、六ミリないしは四・五ミリの鉄板を上下にくっつけて、サンドイッチパネルを構成しています。
スパンが大きい方向に折板が流れていて、その上下に入っています。その直交方向の折板の断面はジグザグの山型になっているので、それを上下で鉄板で止めると、ほぼトラス状になります。つまり、折板の屋根は、折板だけですと一方向になってしまうのですが、上下に鉄板を重ねることによって異方牲の板、両方向に効くような板に変質するわけです。その特徴を使って、ペらぺらの一八センチの屋根をつくりました。
ただ、断熱や防水などをしますので、トータルでは結局二十五センチぐらいになっていますが、それにしても仕上げなどを含めて十五メートルの部分が二十五センチぐらいです。約十八センチの構造断面で最大スバン干五メートル、最大キャンティ四・五メートルの無梁版屋根を実現しています。これはミースの頃は、もともと鉄骨でできていたときにはミースがうまく意匠的に先端だけごまかしていますが、根元のあたりではやはり梁の寸法は五十センチぐらいになっているようですけれども、それが十五メートルを実破しても十八センチでいけるような屋根造になってます。
折板の直角方向に部分的に穴が開いているところがありますが、トップライトも入れながら折板が長手方向に七十メートルぐらいある屋根を成しています。
鉛直の細い柱と水平の簿いパネル、屋根パネルだけで、これだけの大きな十五メートルのスパンが十八センチの板でできているわけです。
エントランスから見ますと、フラットに抜けています。これはミースのパビリオンなどもそうですが、ここに梁をこさせない。どこにも梁はありません。しかもそれが極限に薄い。それによって建築が身体性というか、今の私たちの感性に見合った、そういうかたちで軽やかに解放されるような空間をストラクチャーのほうからも支援しています。
厚み十八センチ、長さ十五メートルのユニットパネルをつくっておいて、それを乗せていきます。
下のキャンティレバーから出た先端にポストが立っていて、これの幅が六十センチくらいだったと思います。ある幅をもたせて同じ十八センチの厚みのものを最初につくっておいて、現場でくっつけていきます。最初は天井仕上げをせずに鉄板を見せようという考えもあったのですが、結果的には天井は仕上げています。
船の造船技術をこういうところでも使っているわけです。簡単なようですが、実際に施工は大変でした。