アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
北京の集合住宅がようやく着工しました。これは70万平方メートルという巨大な延べ床面積のプロジェクトで、約27メートル角の建築面積、高さが約100メートル、低いものでも14階建てです。そういう塔状の住棟が20本建つという計画です。北京というのは日影視制が厳しいところなので、南北軸に対して三十度振って住棟を配置しました。隣棟間隔は住棟の高さのほぼ1.2倍です。三十度振ったことで住棟相互の視線がずれますし、また住棟を塔状にしたことで影がずいぶん小さくなりました。また、これにより街路部分にさまざまなキャラクターを与えることができるので、かなり面白い計画になると思っています。
地下1階と1階は「埼玉県立大学」のような関係になると思います。地下にも緑を配して駐車場とエントランスを設け、一階部分を人が歩ける芝生のデッキとしました。このように地下一階と一階を利用しながら公園をつくり、その上にSOHO型のアトリエ付き住宅を計画しています。
敷地は北京のCBD地区(CENTRAL BUSINESS DISTRICT)という商業中心地区にあります。この地区は北京市が都市計画をしているのですが、この計画でも、実然真ん中に都市公園をつくるということになって、一部に建物が建てられなくなってしまいました。最初82万平方メートルあった延床面積が、現在は70万平方メートルぐらいになっています。全部で約2500戸の住宅ができる予定です。
この建物では、低層部分の計画にシーラカンスとみかんぐみに参加してもらいました。シーラカンスはアトリエ付きの戸建て近い三層の住宅を計画しています。二重螺旋の階段が各部屋の性格を形づくるというおもしろいアイデアです。パーテーションをすべて取ってしまうとSOHOとして事務所やお店にも使えます。
高層の住宅はすでにモデルルームもできています。モノトーンの家具を選んだり、オープンキッチンを提案し、中国ではあまり見ることのないインテリアにしたところ、2001年の中国10大デザインに選ばれました。
休日昼夜関係なく3チームが8時間ずつ交代で働いて、24時間現場は進行しますので、着工したばかりですが、来年の秋には一期工事が完成してしまいます。賃金が安く、労働力が無尽蔵にあることが、このように恐ろしいスピードを可能にするのでしょうが。われわれが監理することになっていますが、とてもじやないですが三交代はできないので、ある程度中国側に任せないと無理だと思っています。
今、中国はバブルに近い状況になっています。人口が日本の約十倍ですから、バブルの規模も十倍近いというのが実感です。計画する側にとっては安い賃金で使える労働力が無尽蔵にあるわけです。この集合住宅は、お金持ちのための住宅です。多くは自分で住むというより、投資として買うそうです。ですから一棟まるごと買ったり、何層か買ってそれをまた貸しするというように運営されるのだそうです。