アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
青森県立美術館は、2000年のコンペで最優秀案に選ばれて始まった仕事です。実施設計も終わり、この十月には工事が始まる予定でした。「でした」というのは、敷地の発掘調査をしましたら、重要な遺跡が出てきてしまったためです。敷地の隣には三内丸山遺跡があるので、僕もこの遺跡をうまく利用して美術館をつくりたいと思っていたのです。幸い建物の下ではなく横なので、調整をしていけば建物はつくれると思いますし、むしろ遺跡があるということと、どうつながりをもたせるかを考えてみたいので、遺跡が出てきたことはよかったと思いますが、その保存方法などの研究のため、工事は来年からになります。
この美術館は、地面を幾何学的に掘ってできた、上向きに凸凹した空間に、下向きに凹凸した構造体を被せた構成です。そうすると、歯並びの悪い歯のように隙間があきますが、この建物では、構造体の中にあるホワイトキューブの空間と、隙間に自動的に生まれる土の空間を両方ともギャラリーに使おうと考えています。
土は、普通、展示室では使いません。むしろ、ほこりの問題などから、あまり使いたくないという人が多いと思います。ただ、せっかく遺跡の隣でつくるわけですから、その場所を利 用してつくらない手はないと思います。
また、その場所を前提として何かやってみようという美術であれば、多様な読み取りが可能な土の空間の方がいいのではないかと思います。
ホワイトキューブは、最初から展示してくださいというような空間ですから、むしろアーティストには使いにくいのではないか、という仮説のもとに、現在もプロジェクトは進行中です。