アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
外観
かなり前のことになりますが、表参道に「SPIRAL(1985年)」という複合文化施設をつくりました。ここでは、3階のホールへ向かうエスプラナードという大階段で構成された豊かな空間をつくろうと考えました。商業施設であるためテナントは頻繁に変わるのですが、エスプラナードだけはいつも同じ姿であるところが面白いです。途中の踊り場にいくつかの椅子を置きました。そうすると、さまざまな人がそこに座って表参道の街をぼんやり眺めたり、本を読んだりするようになりました。その姿は今でも変わりません。つまり、人間にはパブリックスペースで孤独を楽しむ性向があるということで、そういう性向に適した場所をつくってあげることが豊かな建築をつくる上で大切なことだと私は考えています。フリードリヒ・ニーチェ(1844〜1900年)の有名な言葉に「孤独は私の故郷である」という言葉があります。「ヒルサイドテラス」にいつもいた中老の人は、レストランでフルボトルの4分の1のサイズのピッコロワインを頼み、半分くらい飲んでからサンドイッチを食べ、それからコーヒーを飲みます。彼は目の前の旧山手通りを見ながら孤独を楽しんでいました。このように、ひとりで孤独を楽しめる場所が都市の中にもっとあっていいのではないかと思います。イランのイスファハンという、日本でいう京都のような街には、広い100メートル道路があります。ここは私の好きなブールバールのひとつです。この道路は、歩道や住居がある場所から少し上がった所にあります。夕方になるとみんなこの道路に来て、ひとりで川の方へ向かっていきます。人びとが孤独を楽しめるような場所になっているのです。
アトリウム
断面
エスプラナード