アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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槇 文彦 - 豊かな空間構成を目指して
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2019 東西アスファルト事業協同組合講演会

豊かな空間構成を目指して

槇 文彦FUMIHIKO MAKI


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質疑応答
 
新国立競技場でザハ・ハディドさんの案が白紙撤回され、再度コンペティションが行われ隈 研吾さんらのチームの案が採用されました。この白紙撤回は槇さんが声を上げられたことが起因していますが、そのあたりの経緯を教えてください。

ザハさんの案はまだ計画段階のものでしたが、われわれは、たまたま隣にもう少し小さい競技場「東京体育館(1990年)」をつくっていたので、ザハさんの案はあの場所に対して大き過ぎてふさわしくないと考えました。われわれ建築家は模型を見ればある程度大きさが分かりますが、一般の方は完成してからでないと分からなかったと思います。他にも、北側のJRの駅側へ飛び出すなど、さまざまな理由があり、このザハさんの案の採用に対して反対の声を上げました。その結果と言えるのかどうか分かりませんが、多くの方に賛成をいただき、最終的には国の判断で、屋根のない隈さんらのチームの案になったわけです。

 
槇さんが建築の形態を考えられる上で、建築以外のことからインスピレーションや影響を受けていることはありますか。

われわれ建築家は、最終的には建築の形態にも興味を持っていますが、やはり大事なことは空間の質だと思っています。もちろん建築家ですからさまざまなことを考えますけれど、形がよいとか、面白いとか、変わっているとか以上に、空間のあり方やそこがどのように使われるかということが大事だと考えています。例えば「アガ・カーン ミュージアム」の場合は、真ん中のコートヤードが人びとにどのようにすれば受け入れられるかを考えました。形と空間のどちらが大事かというのは、われわれ建築家のプロセスの中で絶えず考えていくことですが、建築というのは形そのものがよければいい、というものではないのです。

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