アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
このような考え方は、東洋にも西洋にもあります。これは、「ロシアン・ネットワーク」というモデルです。たとえば、一つのポイントの中にイスタンブールがあります。イスタンブールは東洋と西洋のちょうど境、脳味噌でいいますと右脳と左脳繋ぐ脳梁のような位置にあります。この不思議な場所に、三三六本の柱を持った貯水場「水の宮殿」が今世紀に発見されました。この場所は007シリーズの「ロシアより愛をこめて」という映画の舞台に使われて以来有名になり、現在、観光ルートに入っています。ユスティニアヌス帝のときにたくさんの貯水場がつくられたんですが、そのうちの最大なものです。この最奥部にはメドゥーサが封印さえてたわけです。メドゥーサは、ガイアという先ほど申し上げました地球神—地球全体を一つの女神として考えているのですが—この女神の孫娘にあたる地球神であるわけです。キリスト教の中では非常に邪神なんですが、もともとは医療神で、人間の病気などを治癒する福を授ける女神だったんですね。それが、西欧的、あるいは近代的と言ってもいい発想で凋落して、キリスト教によってこの古代の病気を治癒する地球神の孫がここに封印されたわけです。この地下宮殿が発見され、人々に広く知られることによってメドゥーサの封印が解け、僕は一つの古代の地球意識みたいなものが開いたんじゃないかと、そう思うんです。
都市の原型の一つとして「アレキサンドリア」がありますが、一説によるとかつて地球上に七十箇所ぐらいアレキサンドリアという都市があったといいます。かのアレキサンダー大王が東洋と西洋の文化を混合させながら、世界に何十箇所もアレキサンドリアという町をつくり、それらをネットワークして文化戦略で抑えていこうとしたんですね。いわゆるヘレニズム文化です。アレキサンドリアは「ミューズの女神」の神殿を中心に図書館とか、美術館、博物館といった都市機能〈ムセイオン〉を置いてつくられていったわけです。
これと同じように、初めにお話ししましたボルヘスのいたアルゼンチンのブエノスアイレスにも、女神伝説があります。男たちが南米の方に航海しますと、途中で舳先に飾ってあったマリア様が夢枕に立って「ここで都市をつくりなさい」と言うのです。荒らくれ男たちはそこでブエノスアイレスの建設に取りかかって、艱難辛苦の末に都市をつくるんです。チベットのダライ・ラマのときにも観音様が現れて、湖を埋めて都市をつくるとか、都市をつくる伝説と地母神の信仰はかなり近寄っていて、必ず都市の中心にはこういった女神が飾られているんです。アテネもそうですし、世界各地にこういう伝説がたくさんあります。
これらのことから、都市づくりは大地のあるパワーと調整しながら連動していると思われるわけです。
水辺に都市が発生し、女神の立ったところから市場が発生して人が集まり、物々交換や情報交換をしたりして都市が出来ていく。そして次第に、経済が蓄積され、ソフトからハードへと神殿が出来たり、旅館が出来たり、遊郭が出来たり劇場が出来たりして都市の形になっていくと考えるわけです。
これは水上都市「テノテノトラン」の原型と言えるメスカルティタンというメキシコ西部にある水上都市です。昔は、これに対してもう一つ陸地の方に四角い都市があり、そこで行政を司っていました。消費する都市を水辺に、経営する都市を陸地にと、人間の右脳と左脳のような感じで都市が発生しているのがわかります。