アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
人間の脳は、異なった機能を持つ左右の二つの脳からなっているわけですが、都市についても同じようなことが言えます。都市が、右脳の役割を果たす部分と左脳の役割を果たす部分に分かれて、密接に関係し合いながら成り立っているということです。その一つの例が先ほどのメスカルティタンです。そしてまた、もう一つ面白いことに、都市は必ずと言っていいほど—ローマ、イスタンブール、リスボン、長安、江戸—みんな七つのポイントを持っているんです。ローマには七つの丘があり、その上に不思議なもの、例えばミケランジェロの「カンピドーレ」(地球の臍)ですね、ああいうものをつくっています。その聖なる七つの丘の上にいろんな物をつくって、そこをギザギザにネットワークして一つの都市をつくっているんです。ですから、この七つのポイントは北斗七星でもありますし、人体の中にも“チャクラ”といって北斗七星があるけれども、そのチャクラ的な意味があります。そのポイントにはさきほど申し上げましたように、公園、宮殿、神殿など日常のものではないもの、即ち天国や地獄など、もう一つの世界観に繋がるものが仕組まれています。
これを日本に置き換えてみると、近世、室町時代辺りで、七つのポイントというのが七福神に変わっていくのではないかと思うんです。京都、大阪などの経済システムや交通、政治の領域、文化的ゾーンなどいろいろなものが拡大していき、今まで見えていた小さな都市が見えない都市になっていきます。そこで、七福神が登場してくる。つまり、この七つのポイントが七福神に置き換えられているのではないかと。この七福神なんですが、ズバリ社会に大変ふさわしい性格を備えているんです。大黒さんは穀物の神様で、農業のテクノロジーを持ってます。恵比寿さんは漁業、つまり都市の蛋白源。弁天さんは文化や市場を起こしたり学問や記憶のようなものを司ります。それから毘沙門は都市のセキュリティ。寿老人は都市の医療、工業、ハイテクの部分を補っています。福禄寿は知識と情報に関するテクノロジーといった具合に、都市生活の願望のようなものが象徴されている上に、ある意味では七つのネットワークを組んで都市を守るというか、都市をまとめていく一つのシステムになっているのではないかと考えています。
その考えを進めていきますと、不思議なことに新しいパリのグラン・プロジェも、ルーヴルとバスチーユとグラン・アルシェはおおよそ正三角形におさまっていて、重要なものは七つになっています。僕は不思議な縁を感じています。特にルーヴルのピラミッドは、古代から歴史的に見てきた一つのシステムをぶち抜いて、いろいろな時代に直接スポッと行ける四次元的な表現に置き換えた、ということが非常に二十一世紀的な意味があって凄いことだと感じています。
また、グラン・プロジェの重要な七つのうちの一つである。「オルセー美術館」は、足元に十九世紀の都市が埋まっているんですね。記憶をもう一度封印しているというか、とてもドラマチックな感じで大変意味があるのではないかと思います
国際コンペ「七福神都市構想」です。近代的な都市計画ではなく、七福神をさらに現代から未来に置き換えてみたものです。ちょうど針や灸のように、都市のポイントに七福神の基地を置き、ハイテクなど環境を絡ませて東京なり川崎なりを再生していこうというプロジェクトです。一番初めは恵比寿都市で、水辺の新しい考案、ウォーター・フロント地区です。弁天さんのブロックは劇場や大学などがある基地です。今、米不足で困っていますが、大黒ランドは地下農場をつくったりしています。先端技術を使った?バイオランド?といったところでしょうか。面白いのは鉱山の守り神でもある毘沙門さんで、今、レアメタルなど金属関係は公害の問題が多いので都市の廃品の採用が盛んですが、そういった都市鉱山をつくっています。なかなかユーモラスなプロジェクトです。