アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
大地のメッセージからつくる方法とはまた別に、長安のように星座を写し込んで町をつくるというような、空からのメッセージで都市をつくる方法もあります。
これはジャイプールにあります“星読み装置”です。「ジャイプール」は、十七世紀、天文学ですとかいろいろな古今の言語についての知識を持つ凄い王様〈ジャイ・シン2世〉が、天の図形のような九つのブロックで出来た都市を計画し、ピンク色の石でつくった都市です。都市をつくって、そこにヨーロッパのお客様を呼ぼうという発想です。今でいう“まち起こし”ですね。そのマンダラ都市に「風の宮殿」があり、宮殿の鳥籠のところから美女が町を眺めていたりしていたのですが、ジャイ・シンは大変な天文学者だったので、この真裏に自分の体を使って登ったり降りたりする不思議な天文台など、いろんな天文機械をつくっています。天の建築といった感じですね。
これも似たような建物で、韓国の慶州にある天文台ですが、下に水が張ってあり、空の星を写し込むというものです。天を地に映すという一つの建築デザインの原型的な発想になっています。
「吉田神社」です。神道家の吉田兼倶という人が、仏教が盛んなときに、神道・道教・密教・仏教と、あらゆるものを集合してそれを乗り越える神道理論のようなものを立てて、吉田神道というのをつくりました。彼は一つの世界を表す八角形のパターンをつくり、この周りにいろんなパンテオンといいましょうか、小さな神社を置き、神道・仏教・儒教・道教の世界中の神様を並べます。一つの大きなマンダラをつくるんですね。そして、その中心には、風車を置いています。要するに、〈宇宙の気〉というか息吹きみたいなものを中心に置いたわけです。そして、「宇宙の神々が皆ここにやって来た」、さらに「伊勢神宮の神様たちもここに引っ越してきた」と公言してしまうんです。すると伊勢の神官たちがひどく怒って大喧嘩になりますが。吉田神道のコスモロジーは、後々、安土・桃山・江戸の初期に至る大きな日本の建築文化をつくっていく一つの精神的な支柱になっていきます。
皆さんよくご存じの兵庫県小野市にある「浄土寺浄土堂」です。これも一つの宇宙を表しています。阿弥陀さんは西側の太陽の落日を象徴しています。ですから、太陽が背中に落ちるように横の窓を切って、夕日が落ちるときに自然と仏像が一体になるような壮大な仕掛け—一つの宇宙を演出しているわけです。同じような例として、冬至のときの太陽を意識してつくられた桂州の「石窟庵」があります。これもまた、宇宙と地球のひとつの表現ですね。