アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
この女子寮に際しては、どういう部屋をつくったらいいのかということ自体が、クライアントにも私たちにもわからず、研修所のようなものやワンルームマンションのようなものなど、いろいろなタイプのプランをつくって話し合ってきました。クライアントが求めている「共同生活をすること自体が研修にもなって、寮でもある」という複雑なリクエストで、最終的にはなんとかそれらしいものに決まりました。
四人部屋のベッドルームが並んでいて、その上がいくつかの部屋になっています。私が考えたことは、八十人が一年間共同生活しなければならないなら、そのひとりひとりが自分の好きなように空間を組み立てて生活していけるようにすることでした。ベッドルームが小さくても、そのほかのスペースを個人が好きなように組み立てて生活できるようなプランをつくろうとしました。
その組み立て方がそのまま外観としても表れるようなつくり方をしています。大きなワンルームの両サイドにベッドルームが並んでいます。構造のコアであり、設備のコアとなっている五本の塔の回りにいろいろなサイズのテープルが置いてあって、それを好きなように動かして共同でいようと思えばいられるし、一人になりたければ、どこかに動いて自分のスペースを確保できるようにそれぞれが使えるつくりになっています。
外側ですが、女子寮ということでまる見えだと問題があるので、見られては困る場所に半透明フィルムを貼ってあります。外のような場をつくりたいとも思ったので、部屋から風呂場にいったり、部屋から打ち合わせコーナーにいったり、人の部屋を訪ねたりなど、その関係が一度外に出て、またどこかの部屋なり家にいく感じをイメージして大きなトップライトを切ったり、外の景色をそのまま展開図になるように取り込んだりして、真ん中に半外部のような空間をつくっています。