アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
私がレクチャーをするときにいつも話すことがあります。一つはバンコクの運河のほとりで暮らしている人びとの様子です。十数年前になりますが、運河のほとりを船で見学しました。彼らの生活は、とてもダイナミックです。今でも雨水をため、そして運河で体も洗うし洗濯もするし、お皿も洗います。自分たちの排泄物もここに流れています。つまり、われわれの生活だって視覚的に水の流れは見えませんが、水道の水を通じて水と結ばれています。排泄物もまた水といっしょに自然の中に流れていきます。このようにわれわれの身体は、自然の一部分、水の支流のような存在であるのです。
それに対して、現代のわれわれはもう一つの情報といいますか、あるいは電子の流れ、電子のネットワーク、電子的なネットワークを介して、もう一つの水の上に住んでいるといういい方ができるのではないでしょうか。
それはややメタフォリカルないい方になりますけれども、この電子的なネットワークを通じて世界に結ばれています。このことは、われわれがコンピユータのネットワークを発達させてきたときに、逆にバンコクの水との生活のあり方のような、かつてわれわれは自然と結ばれていた身体だったわけで、われわれは決して自立した身体をもっているのではなく、自然の一部のような身体であったんだ、ということが逆に思い起こされてきたのです。これは建築にも通じるし、都市空間にも通じるのではないでしょうか。また、今日的な重要な視点であると思っているので、私はいつもこのことを話します。