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東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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妹島 和世 - 自作について
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東西アスファルト事業協同組合講演会

自作について

妹島 和世KAZUYO SEJIMA


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マッスを和らわげる集合住宅

「岐阜県営住宅ハイタウン北方南ブロック」は、今話したことを考える前に計画を始めたもので、私にとっていちばん長期にわたるプロジェクトです。すでに六年くらい続いて一期工事が終わっています。

 磯崎新さんの構想によって進められているプロジェクトで、四人の女流建築家が四百三十戸の集合住宅をつくる計画です。一九九人年の三月に一期工事が終わって、現在それぞれ残りの五〇数戸ずつをその周辺につくり、二〇〇〇年の三月に完成します。外構はマーサ・シュワルツさんというアメリカのランドスケープデザイナーの女性がやっています。

私たちは、非常に大さなヴォリュームの建築が出来上がってくるので、そのヴォリュームをコントロールすることが大切だと考え、与えられた敷地をみんなで見てまわることから始めました。

ほぼ敷地に沿ってできるだけ薄いヴォリュームをつくろうとして、各住戸に穴が空いたテラスをランダムに用意しました。合計百人個の穴が空いています。この吹き放しの穴は後と前から、つまり反対側の気配が感じられるわけです。すごく大さなヴォリュームはこの穴によって弱められるし、視線が抜けるので、ヴォリュームを薄くしてくれます。それが集合住宅のマッシブな感じを和らげると考えます。

岐阜県営住宅ハイタウン北方南 ブロック妹島棟の全景
岐阜県営住宅ハイタウン北方南 ブロック妹島棟の全景
メゾネットタイプの住宅内部)
メゾネットタイプの住宅内部
南側開口部
南側開口部

プランは基本的に、北側に共用廊下があって、南側にプライベートな広禄のようなものがあって、その広嫁が各部屋をつないで、いろんなユニットをつくつていく考え方です。

特に強い主張があるわけではありませんが、集合住宅では、まだまだいろんなことが考えられると思います。公営住宅法のもとでは、賃貸の集合住宅にリビングルームという考え方がなくて、面積や収納の容積などが細かく規定されています。 無理にリビングルームを大きく取って、個室をぎりぎり最低限の大きさにしていくという方法もありますが、ここではそうではないプランを考えてみようと思いました。

また、公営住宅法は、相変わらず四人家族とか、五人家族という典型的な家族構成を想定していますが、一方で、今では独り暮らしだったり、結婚しなかった子どもと年取った両親とか、離婚した人と子どもとか、いろんな暮し方の人がいるので、今後を考えると、いっしょに暮す人たちという構成はたぶんずっと残るでしょうが、いろんな組合せができてくるのではないかと思っています。そこで一家族という単位を強いかたちで示すよりも、いろんな住まい方を集めていくことで、プランをつくろうとしています。そういう意味で、ここでは断面が違ったいろんなパターンの住戸があります。グリットによって部屋が並んでいるので、ほとんど同じような空間ですが、部屋と部屋との関係がちょっと違って、たとえばダイニングキッチンとテラスがあって、上に和室とベッドルームがふたつあったり、ベッドルームがふたつで、リビングルームとテラスと和室が下にあるとか、場合によっては、全部フラットに並んでいるプランとか、和室だけ離れて上にあるとか、少しずつ微妙に生活が違ってくるわけですが、まとめて外から見ると普通の四角形の建物として見えるようにしました。

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