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東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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妹島 和世 - 自作について
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妹島 和世KAZUYO SEJIMA


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建設中の住宅二件とケアプラザ
小さな家 (プロジェクト)小さな家 (プロジェクト)
小さな家 (プロジェクト)

最後に、今進めているプロジェクトを紹介します。

奈良の保存地区の最後の部分につくっている住宅とギャラリーの計画です。細長い昔の道があって、長屋が続いていたわけですけれど、太い通が通ったためにここだけ高いものが建てられるようになりました。これは斜面に建っているので、なるべく弱いかたちを考えられないかと思い、ストレートにしすぎると、高低差があり、すごい立ち上がりができてくるので、道路と同じ勾配の四角形をちょっとだけ歪めてみました。

ファサードは五メートル、奥行さは三十メートルぐらいです。庭がいくつかありますが、 ひとつのファサードで壁と庭のところによって濃淡ができてくるということと、真っすぐの屋根より、地形と同じような勾配をもったかたちのはうが、より弱いかなと思っています。

次は、二〇〇〇年の五月か六月にはできる東京の真ん中の小さな敷地の住宅です。敷地が十八坪で、建ぺい率からいくと六×六メートル弱の平面がとれるだけですが、若いご夫婦とその子どもさんのお住まいです。

三十坪弱ぐらい、六×六メートルが三フロアで、百平方メートル弱ぐらいのものですが、四角形というのは小さな敷地になると、より不自由になってくることを思い出して、いちばん大きいのは六×六メートルで、結局、それより小さいものも重ねて、空き地に対してだんだん上が開いていくとか、一階ではこちらは隣の家の横だから、ちょっと自分が控えて小さな庭をつくるというように、微妙に外との距離を違えています。インテリアもただの丸階段ですけど、階段に対して外壁が動くことによって関係が違ってきて、前に広い場所が取れたり、後ろに広い場所が取れたり、動かしながらサイズを積み重ねています。かたちは複雑ですけれど、考え方としては小さい中で最大限、LDKは六×六メートル取ったとして、あとはベッドルームだったら何畳ぐらいとか、こども部屋だったら何畳ぐらいとか、その大きさを積み重ねて、それと外とどこでどのように離れたり、くっついたりしたらいいのかというようなことをやってます。

これは横浜市の「六ツ川地域ケアプラザ」です。横浜も郊外の山になっているところでは住宅術が急斜面になっていて、その上のほうがこのケアプラザの敷地ですけれど、その上にまた段状の住宅街があるというようなところです。

横浜市ではしっかりしたマニュアルがありますが、この敷地には適合できませんでしたので、それを使えないということで、このような細長い建築になりました。全長百二十メートルぐらいになります。妻側は七メートルぐらいです。

プランでは、お年寄りが毎日来て、夕方帰るまで過ごす部分と、地域の人たちがボランティアでいろいろ支えたり、集会したりするエリアがあって、真ん中のところにバスが入ります。ボランティアの人たちがミーティングをする場所の先にキッチンがあり、デイルームと呼ばれて、昼間過ごす場所です。その先にトイレとお風呂があります。

ここでも両側に構造が建つのを避けたいと思ったのと、南寄りでもけっこう陰になるので、両面に光が入るようにしています。部屋と部屋の境が可動扉になっていて、扉を開けてしまえばワンルームで使えます。棚や設備機器は中心の構造に近い部分に取っています。

左や右に構造があって、中がトイレになったり押入れになったりしています。ただ、なるべく透明なもので囲んでいて、外側は厚いガラスです。部屋ごとに可動の間仕切りというか、扉が開くようになって、つながると約二十メートルになります。これは模型ですけど、もっと透けるようになつていて、こういうところが重なってくると、プライバシーが高くなります。

外装はシルクスクリーンで刷った厚い合わせガラスです。黒と自の印刷を重ねているので、夜になると黒が消えてインテリアが白くなるんですが、昼間は黒と白がダブつてシルバーのすだれのように見えると思います。そうやってガラスが重なると、どんどん透過力が落ちてくるというスペースをつくろうとしています。

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