アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
表から見た立面と裏から見た立面は、テラスを通して、反対側の空が見えます。共用廊下を歩くと、部屋が並んでいるのがわかって、ところどころに抜けるところが出てさます。共用廊下がこの集合住宅の特徴だと思いますが、一般的な集合住宅の共用廊下を歩くと、玄関があって、ベッドルームの窓には格子戸がついたりという風景があって、ここからここまでがだれだれの家というのがはっきりしていると思うのです。このプロジェクトでは、物理的にパブリックとプライバシーが接していて同じ距離しかないのですが、住戸の境界がよくわからないように見えます。南側から見れば、ひとつのグルーピングのかたちが見えるので、各住戸がそれなりにわかりますが、北側から見ると、どこかが組み合わされていてひとつひとつのグループが出来上がっているのですが、はっきり各住戸を隔てている境界がわからないようになっています。パブリックな部分とプライベートな部分が、つまり接していても物理的な距離以上の距離が、できるのではないかと思っています。
プライバシーは非常に重要だろうと思いますが、それを守るためにどういう方法があるかというとき、壁を厚く頑丈にして閉じるという方法ではなく、距離をもち込むことが私にとっては、興味の対象です。
このプランではL字型になっていて、南側に広縁があって、広緑に沿って部屋が並んでいます。アップで見るとダイニングキッチン以外の各部屋が小さな折戸で開け閉めするようになっています。
テラスは、ほとんどダイニングキッチンと隣り合っており、メゾネットタイプは全体の三割程度になっています。庭にはコンクリートの低いテーブルと洗濯機置場をつくっています。居住者から、やっぱり洗濯は室内でしたいという声もありますが、私としてはもう少したくましい暮し方を各々がしてみてもいいのではないかと思っていて、テラスに洗濯場を取りました。一年の半分ぐらいは屋外が快適な季節だからです。また、一般的な集合住宅では、汚れた水を捨てる場所がありませんが、ここでは全体が防水パンのようになっているので、足を洗ったり汚れた水を流したりすることもできます。