アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「S-HOUSE」という住宅で、回廊のあるプランです。これまで私はなるべく廊下をつくらないようなプランをつくってきましたが、ここでは積極的に廊下のような場所をつくっています。集合住宅は表側と裏側にそういうものをふたつ使いながらプランを組み立てたのですが、これからお見せするふたつのプロジェクトは、平面のまわりに廊下がぐるっとまわっています。外と内の距離をその回廊によって遠ざけたり近づけたりできないだろうかと思っています。
これは家族六人で住まわれている住宅で、クライアントは、とにかく明るい家を望まれたのですが、そのまま窓を開けると突然外のものが中に入り込み過ぎてしまうと思って、このような回廊をつくってみました。
基本的に主要構造部が普通の木造で、周囲に土間のような回廊があります。外周の二面には二×四の胴縁にポリカーボネートを両面に耽り付けてカーテンウォールのようなスクリーンをつくりました。
この回廊の内側は一階も二階も建具で囲まれていて、いうなれば弱い壁をふたつつくったプランになっているわけです。そこがバッファーゾーンになっていて、扉の開け閉めで、外に近い場所になったり、外から速くなったりする場所をつくろうとしました。おじいさんとおばあさん、それから若いご夫婦と子ども部屋とゲストルーム、水まわりは、お互いにくっつき合っているけれども、部屋同士はすごく距離があるように感じます。ここから向こうに行こうとするとぐるーっまわらなければいけないので、つまり、すごくちっちゃなプランの住宅の中に長さをもち込もうとしたのです。
各部屋から出ると、回廊が吹抜けになっていて、ダイニングキッチンが二階にあります。上を見上げて声をかけるとコミュニケーションができます。そうはいっても、回廊があると外から離れてしまうので、ダイニングキッチンの二カ所に窓があって外から直接内側まで入り込んでくるようになっています。
外壁の二面はポリカーボネートですが、他の二面はスレートの波板になっていて、下から空気を入れて高いところにある換気扇で抜くようにしています。
二階の写真ですが、基本的に全周を木のパネルのようなもので覆っていて、光をカットしたり入れたりします。季節ごとに適当に調整をしながら住んでいくという提案です。昼間は光が当たっているとだいたい同じ材料で包まれているただの箱のように見えますが、夜になるとマテリアルの違いが出てくるようになっています。