アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
ひとつの建物をつくるときにどんなプロセスをたどるかをお話しします。ビルをつくるときに、窓のスケールをいじるとどう変わるか、ジョイントなしだとどうなるか、窓の位置やコーナー部の処理を変えることでどう見えるか、ということのスタディです。
ヴォリュームをつくる作業が一段落すると、その上に窓を貼って状態を見ます。窓の配置と大きさについて、だいたいこのくらいがいいなとなると、ガラスの色のスタディ、夜の光の強さなどのスタディを始めます。そしてジョイントのスタディもします。ジョイントレスでやりたいとなると非常に大がかりになるので大変になりますし、ガラスのジョイントが見えてもいい場合と消す場合では扱いも変わってきます。ジョイントがあるならジョイントだらけというのもあるかなと思っています。
外壁に関しても石張りやらグラデーションやらいろいろなことを考えます。一番単純なグリッドのパターンも、大きさを変えると雰囲気は変わるのでいろいろ大きさを試してみました。いったんはこれでいいかと思っても、見ているとだんだんふつうの建物と変わらないように思えてきたりすることもあります。近くの建物を見て回るとおもしろいですね。いろいろなことをやってあって。中にはほとんど同じデザインのものがあったりしてショックを受けたりもします。
その後、どういうガラスの使い方をすればいいかを試してみました。小口積みを試しましたのですが、これが面白いのは、上と下に白い紙を置いて斜めから見ると屈折で奥が見えるということです。48メートルの高さの建物ですが、上の方を見上げた時、ふつうはガラスがあって中が見えないのに、小口積みにするとガラスの屈折を通して部屋の風景が外に見えてくるわけです。必ずしもガラスだけでつくらなくてもガラスと金属という組合せでもできます。ジョイントがあるとそこでひとつ反射面が入るということなので、ガラスの使い方、ジョイントの位置を考えるだけでいろいろできると思いました。
面白いと思ったことをいろいろ試してみましたが、結局、カモフラージュパターンを考えました。絵画でも同じですが、パターンには図と地があって、カモフラージュパターンだけは図と地の関係がありません。常に関係はあるんだけど、どっちが図か地かわからないものです。どちらにもなり得るというのが面白いと思いました。さらにそれをぼかして出したいと思い、いろいろスタディしました。全体をなんとなく緑がかったものにしたいと思って、穴の小口を緑色にして見え方の実験をしました。
具体的なパターンのつくり方としては、二枚のパンチングメタルを重ねたり、パンチングの穴のパターンを変えたり、穴を小さめにしたりしました。また、カモフラージュパターンは若干ずらして全体をつくると微妙な変化を生みます。そのほかいろいろ試してみましたが、模型をつくってみると微妙な変化しかないものもありました。
これは、歩きながら見ていると模様が変化していきます。右から見るのと正面から見るのと左から見るのとでは違いますし、歩きながら見れば、どんどん見え方が切り替わっていくのでとてもおもしろいと思いました。カモフラージュパターンにしても、ある時に図に見えるものが、次の瞬間には地に見えたりします。こうやって平面計画は二日間ですんでいるのに、その後、延々と外装のことをやっている状態です。外装は魑魅魍魎ですね。