アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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青木 淳 - 最近のプロジェクトのついて
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青木 淳JUN AOKI


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建物をつくるプロセス
G
G 窓のスタディG 窓のスタディG 窓のスタディ
G 窓のスタディG 窓のスタディG 窓のスタディ
G 窓のスタディG 窓のスタディG 窓のスタディ
G 窓のスタディG 窓のスタディウミウシ
G 窓のスタディ。右下はウミウシ

住宅でも同じようなスタディをします。これはもうすぐ工事がはじまる小さい住宅です。まわりのコンテクストから余りにきわだたないような建ち方をと考えると、切妻屋根という選択が出てきます。斜線があるので変形した切妻として、窓の形をスタディします。だいたい全体の構成が決まると、そのあとのスタディは窓の大きさとつくり方のスタディになります。窓をどうつけるか、形と無関係につくるのか、さまざまなスタディが始まります。

内部や外観はごくふつうに見えるけれど、ひとつのことでがらっと変わるようなものができないかと考えました。そのひとつのことというのはスケールでできるだろうと思いました。窓はおもしろい要素です。細長いものをつけた場合と横向きのものとか小さいものとか試してみるとすべて違う表情になります。特注でつくればいいんでしょうが、お金がかかりますので、既製品のトップライトのカタログの中からいくつかを選んで、その大きさの四角形を模型に貼ってみることをしました。

また、完全に家の外側の壁と屋根を一体的な素材で覆った場合につても考えてみました。六本木のプロジェクトと近いアイディアですが、要素がひとつ決まっていて、それが増幅するだけで空間ができないかということも考えてみました。なんとなく珊瑚が面白いかなと思っています。珊瑚というのは、ひとつの要素があって、それが増殖していき最終的には違う形になります。それと同じようなことができないかと考えました。窓については、小さいものをたくさんつくるという案が面白いかなと思いました。

ウミウシかアメフラシは面白い形をしていますよね。オレンジのプツプツは中の構造と関係があるのかわからないですが、同じ生物でも僕たちの美的感性からは逸脱しているようなものです。それがなぜ逸脱しているかというと、まずはスケールの問題だと思います。全体をつくっている形とオレンジのプツプツの間のスケールのものが何もなくて、標準的な感覚からするとスケールの分布が偏っている。その偏り方をコントロールすることでいろんな世界があり得るだろうと思います。

そこでもう一回、窓の配置と大きさを試してみました。この住宅の構成は半地下の空間があって、地盤面より上は木造の在来工法で建てます。下に居間をつくって上がスカスカの状態で、基礎を下から見上げているような感じになります。上は空間というよりはトップライトになっているようなつくり方をしようとしています。中のスタディもしながら、外のスタディをしています。ポツポツ開いた窓が中からどう見えるかというスタディ。出窓の場合の中のつくり方。階段のつくり方。下から見上げることを想定した中の空間のスタディ。そういったことを、装飾と本質という対比ではなく、装飾そのものとしていろいろやってみたいと思うようになりました。

スケールを変えることで新しいことが見えるということについてですが、たとえば僕たちのまわりにあるもので考えると、どうして集合住宅は集合住宅に見えるのか、オフィスビルはオフィスビルに、住宅は住宅に見えるのかという問題があると思うんです。法律のせいもありますが、オフィスビルは窓の大きさとか階の高さとかいった建物に備わっているルールがあって、それがオフィスビルをオフィスビルたらしめているのです。建物と土木構造の間に一目でわかるような違いがあるのも同様に、建物にはあるルールに則ったスケールの分布があるからです。

しかし、集合住宅をつくるということは、集合住宅のルールに則ったスケールの分布を施すことではありません。人が集まって住むための空間と環境をつくるのが目的ですから、それと集合住宅という建物をつくることとは違うのです。その意味では、これだけ世の中にたくさんの建物がありますが、実は僕たちはほんのわずかな可能性しか見ていないような気がします。外から見たときに、建物がもっている建物らしさをつくっているのは装飾、つまりもののコンポジションの問題としてそう見えるのだから、多くの人はそこを変えちゃうということを結局装飾的次元でやっているだけのことと思うかもしれません。しかし、そこには僕たちの知らない無限の世界があるように思うのです。

どういうものがいいかというと、それは時と場合によりますが、少なくともぜんぜん知らないもののあり方がたくさんあるように思います。たとえば、バーミンガムにあるフューチャーシステムがつくったデパートは、「風の谷のナウシカ」に出てくるオウムみたいなものですが、表面が凸面鏡だけでできています。本来商品を売るだけならもっと安くデパートは建設できます。しかし、デパートという建物はその場所で買うことが楽しいと思わせることが必要です。このデパートは窓がなく、まわりの建物とまったく違うものに見えて面白いと思います。でもよく考えてみるとやっていることは結局スケールの問題だけです。小さい凸面鏡という単純な要素のコンビネーションでつくるという素直な方法ですから、そこで問題になるのはスケールだけなのです。ふつうの建物がもっているスケールの分布というものが変わるだけでまったく違うものになるという一例です。

模型を使った内部のスタディ模型を使った内部のスタディ模型を使った内部のスタディ
模型を使った内部のスタディ模型を使った内部のスタディ模型を使った内部のスタディ
模型を使った内部のスタディ
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