アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
2年前に竣工した「昭島のハウス」です。これもまた、ものすごく小さい住宅です。バス通りと住宅街の通りのふたつの道路に挟まれた細長い三角形の敷地に建っています。道路というのは街にとっては空地ですから、空地に囲まれていると言ってよいでしょう。お施主さんは40歳の音楽の先生をされている女性です。アップライトピアノとグランドピアノが置ける、小さい自分の家をつくってくださいというのが要望でした。
二階建てになっていて、一階が音楽のワンルーム、二階が生活のワンルームです。コーナーが曲面になっているのですが、これはなぜかというと、周りが全部空地なものですから、ファサードがつくれない、要するに正面をつくることができないと思ったからです。敷地はどこからも同じように、かなり引きをとって見えるので、普通の住宅地だと道路側をファサードにしようとか、あるいは庭側をファサードにしようとか、どこかがメインでどこかがサブで、みたいな考え方ができるのですが、この場合はそれができないので、コーナーを曲面にして、一枚の壁でクルッと巻いたような立体にしたいと思いました。ですから外装の納まりも目地がなく、それをハゼで回してつくったような納まりにしています。窓は、周りの住宅に合わせてブロンズの引き違いサッシとし、住宅だということを表そうとしています。
一階は、北側にパーキングを設け、それに面して玄関があります。玄関を入るとすぐにコアがあり、それ以外のところで音楽教室ができるようになっています。二階はダイニングと書斎と寝室の3つのゾーンがあります。この3ゾーンは、それぞれお施主さんの持っている持ちものの色に合わせて仕上げようとしました。寝室は白木調です。南側がダイニングですが、ここはカトラリーとか食器にピンク系の色が多いので、チェリー色に染めました。北側の書斎は、椅子などの色に合わせて焦げ茶色です。ただ、このような色にしたのは下半分で、壁の上半分はすべて白くして、ワンルームであることを示すようにしています。天井は集成材の単純梁で、スパンの変化に合わせてピッチも変わるようにしました。一階はコンクリートをスタンウェイのピアノの色に染めましたので、ダークグレイになっています。