アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
川崎市の百合丘というところに建つ二世帯住宅です。百合丘はかつて公団が開発を行い、マンションと戸建て住宅からできている街です。坂が多く、この住宅が建つ交差点から、上に行くとマンション街になり、下りていくと戸建てがずっと並んでいます。つまり戸建て住宅街がマンション街に切り替わるポイントにこの住宅は建っているのです。そこで、この二世帯住宅をふたつの住戸でできている最小限集合住宅と考えて設計しようと思いました。
一階にお母さんが住んでいて、二階に息子さん夫婦が住んでいます。その間に光室があって、緑地が映り込むようになっています。集合住宅なので、一階二階ともプランはほとんど同じです。入口は交差点側の角です。
一階に住まわれるお母さんは、ずっと平屋に住んでいらっしゃいました。そのためか光や緑の多い環境を感じられるのがいいとおっしゃって、ここを一日中光が入るようなスペースにしようと思いました。そこで光室からの光が天井を通して一階部分に注ぎ、天候の変化や雲の動きが室内にいても分かるような感じにしました。壁と床はお施主さんが持っているものに色を合わせています。
二階は、上に光室は設けないで天井高を高くとり、内装はお施主さんの持ちものに合わせました。このお施主さんは家電オタクで、大きいモニタがあったり、コンピュータがあったりします。これらの家電のほか、テーブルも含めて、お施主さんの持ちものを見てみると、その表面がすべて樹脂ということが分かりました。樹脂のツヤが好きなのですね。そこで、この部屋は壁紙も床もそういった質感に合わせ、色もお施主さんの持ちものの色調としました。床はリノリウム、壁は樹脂のクロス。ちょっと貼るのが難しいのですが、ツヤが完全に樹脂と同じになるためこれで全部覆い、部屋全体のツヤが何となく似ているような感じにしました。
色についてもお施主さんには決まった好みがありますので、白からシルバー、ライトグレー、べージュまでのグラデーションで収まるようにしています。エアコンは、お施主さんが自分で探してきて、絶対にこれを使ってくれと言われたものですが、それとツヤを合わせるようにしています。また、チリについても家電製品が持っている独特の納まりの寸法に合わせました。