アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
これは次のプロジェクトで、「Garden & House」というものです。庭と住宅というテーマですね。
クライアントは女性ふたり。フリーで編集の仕事をなさっている仕事仲間のおふたりです。事務所をもちながら、一緒に住むというプログラムです。住宅のようなSOHOのような。事務所ともいえますし、仕事仲間のふたりが住むという意味では寮みたいなところもあります。プログラムとしてはどこにも属しにくい微妙なところで、そういうものを考えるのは面白いと感じました。
編集者なので本が好きというのもあって、いろいろなところで本が読める場所を考えました。そしてそれを中心に置くと、寝ることやコンピュータひとつでできる編集の仕事は、いろいろな場所でできるのかなと考えました。敷地がすごく狭いので積層しないといけなかったのですが、アイデアとしては各フロアに庭と部屋があるというものです。庭と部屋の形がみんな違っていて、先ほどの「HOUSE A」を立体的に積んでいった感じでしょうか。どこにでも滞在したくなるような空間性があるということも「HOUSE A」と一緒です。
すごく狭い敷地にスラブを重ねていくのですけれども、その中で部屋と庭を反復させて積層していきます。これは模型写真です。部屋と庭の形が各階で違うのがわかると思います。いろいろな階段がつながって庭から庭に上がったり、部屋から部屋に上がったりという感じですね。全体的に中にも外にも家具が置かれて自分でその場所を選べるようなものを目指しました。ここがオフィスでここが寝室でここがお風呂というように決めてしまうと制約が大きいのかなという気がしまして、各階で自由な使い方ができるようにしています。
敷地はすごく東京らしいシチュエーションにあります。左右周辺の建物は大通りの道に面しているために30メートルを超える高さなんですけれど、ここは裏通りに面しているので高いものが建てられない。周りに非常に巨大なヴォリュームがあるので谷底みたいなところになっているという非常に不思議な土地です。最初に土地を見にいったら井戸みたいなところで、すごく驚きました。そのような土地の面白さに負けないというか、面白さを超えるような建物をつくれないかと考えました。周りの建物の壁が迫っていますし、敷地が狭いからコンクリートを使うと4メートルが3メートルくらいになって生活できない幅になってしまう。そこで最終的には壁のない住宅というのを思いついたんです。
ここでは、庭とリビングがいろいろな違った形で並んでいるということを考えました。どれも狭いわけですが、狭いながらも小さな部屋と小さな庭がいろいろな形で関係しあって各階で違った風景が展開するということを考えています。
今は実施設計に入ろうというところで、年内に実施設計を終わらせて、来年の冬に着工したいと思って進めているところです。