アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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西澤立衛 - 自作について
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2007 東西アスファルト事業協同組合講演会

自作について

西澤 立衛RYUEI NISHIZAWA

西澤立衛-近影

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トレド美術館ガラスパビリオン [2]
通路よりホットショップを見る
通路よりホットショップを見る
エントランス方向を見る。左手がカフェ。右手は展示室
エントランス方向を見る。左手がカフェ。右手は展示室

展示室は三部屋あります。展示室同士はやはりカーブで連続していて、部屋と部屋の間にドアがありません。また、このようなことをすると部屋と部屋の間はガラス・空間・ガラスということになります。アメリカの場合、壁の中は通常は煉瓦で詰まっているわけですが、ここの場合は煉瓦ではなく空洞になっています。そこは空調のバッファーゾーンに使われています。ホットショップというのは炉があるので、すごく暑い空間で、一方、ホワイエは普通の温度湿度、展示室は温度湿度の要求条件が非常に厳しい室内条件が取り上げられており、小さい建物の中にいろいろな異なる室内環境を求められたということがあって、間にこういう空気ゾーンを巡らせることにしました。外側もダブルファサードになって空気ゾーンがグルっとまわっているわけです。空気ゾーンをバッファーゾーンとして設けることで熱を遮断できます。つまり、遮熱を厚い煉瓦の塊の壁でするのではなくて、ダブルレイヤーでするというのがアイデアです。

いろいろ条件の変化などがあって、最終的には平面が正方形に近くワイド方向が縮まりました。構造は佐々木睦朗さんとのコラボレーシヨンです。地上は鉄骨造で地下はコンクリート造です。

完成した写真を見るとわかるように、建築は低く水平方向で、見事な緑を感じられる。ガラスでできている建物なので連続性というものがある。直接公園から入っていって、そのまま中を歩いていくというようなものです。公民館的な施設でもあるので、開かれた、人びとを招き入れるような建物にしようとしています。

ホットショップではガラスを吹く実演をします。カフェで座りながらホットショップの実演も見ることができましす。いってみれば、ホットショップは劇場みたいなものです。 ショップというのは工場というような意味でいっていると思うのですが、劇場のようにショーアップされて映像とかも使う。一種のエンターテイメントのようになっています。内部には観覧のための席があります。ただ大きなショーをする時は憐接するホワイエが立ち見席として使えるよう、壁が透明になっています。

展示室
展示室
内部の風景とガラスに映り込んだ外部の風景が交錯する
内部の風景とガラスに映り込んだ外部の風景が交錯する

部屋と部屋を並べてお互いの空間が連続するというのを、いろいろなところでやろうとしています。部屋がカーブして狭まってまた向こうで広がっています。ガラス工芸は彫刻作品ですので、アイランド状に展示して四周から観ることができるようになっています。場合によってはガラスの壁もショーケースになって展示することができます。この写真は住宅地側にあるマルチパーパス室です。ぐるりとカーブしたガラスで囲まれたワンルーム空間です。パーティやレクチャーや展覧会に使ったりする寄り合い場でもあるような街の人たちの部屋です。

外観です。まずマルチパーパス室が手前に見え、その奥に中庭があってそのまた向こうに展示室がある。全体的に透明ガラスを使っているのですが、いろいろな角度をもつために反射が起きて、周辺の煉瓦造の建物や中の風景や緑というものが映り込んできます。全体として中と外が混ざり合うような空間、風景がつくられます。

他のプロジェクトでもそうですが、開放性と透明感、建築と都市、人間の使い方、そういうものがなるべく建物に魅力的に、鮮やかに出るようにと考えています。こういうような人びとの施設は社会性というか都市との関係性が非常に大きな問題になってきて、それが単に言葉だけではなくて、デザインの問題になるように、幾何学の問題になるようなことを考えながら設計しています。

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