アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
西沢「Junko Fukutake Hall(2013年)」という多目的ホールです。岡山大学の医学部のキャンパスに、福武教育文化振興財団副理事長の福武純子さんが寄贈されたホールです。
このホールの敷地の隣に医学資料室・研究棟という保存建築物があって、まずその耐震改修をやりました。その流れで、主に医学会の発表などを行なう会議場をつくりたいという話から始まったプロジェクトです。岡山大学の森田学長と福武純子さんから、通常のホールよりもう少し開かれた、学会だけでなく多様な使い方のできるホールがつくれないかという相談を受け、われわれが設計することになりました。
妹島岡山大学には元もとキャンパスがふたつあり、学校としてはそのふたつをもっと繋げたい、また、大学は地域と繋がっていなければならない、という思いを抱えておられました。なので、市民にも使われる地域に開かれたホールが求められました。
西沢四角い長方形のボックス状のものではなく、われわれは大きな屋根を分割した複数の屋根の集合のような、複合的なかたちをつくりました。200人席のホールを中心として、50人席の小さいホールが2つそれぞれ隣り合っている構成で、1つを繋げると合計で250人、さらにもうひとつ繋げると300人収容できます。屋根を1つで使ったり2つで使ったりして、大きさを変えられるホールになっています。200人席のところだけは床が下がっています。カーテンを閉め切ることで、暗い空間をつくることもできます。
ホワイエ空間はガラス張りのオープンな空間となっていて、その先には半屋外の屋根空間があります。学会の発表だけでなく小さなセミナーや、外でディスカッションを行えるように、中や外などいろいろな屋根下の場所をつくりました。屋根は、アプローチや周辺の重要な建物に向かって開くように傾いています。屋根の角度を変えることで、いろいろな方向に正面を持ち、いろいろな方向に開かれて、中と外の繋がりが強くなっていくような建物を考えました。複数の屋根によって多角形の平面ができています。
妹島1年に1回か2回、500人くらいの学生さんが集まる機会があるので、全部の空間を繋げていくとそれくらいの人数が入るようになっています。もちろん、ばらばらにも使えます。全体で大きな屋根にもなるし、単独で使われた時には、広場に開かれた賑やかな場所になったり、裏庭を向いた静な場所になったりと、人の集まり方や使われ方でかたちができ上がっていくホールを考えました。